薬害エイズ和解記念集会
エイズ治療・研究開発センター 臨床研究開発部長 照屋勝治 様
薬害エイズ裁判和解29周年を迎えるにあたり、これまでに亡くなられた方々のご冥福を心よりお祈り申し上げますとともに、現在も様々な困難と向き合いながら日々を過ごされている被害者の皆様に、深い敬意と共感の念を申し上げます。
和解から30年近い歳月が経過し、医療を取り巻く環境は大きく変化してまいりました。薬害エイズ事件の詳細な経緯や教訓が時の流れとともに風化し、特に若い世代の医療従事者にはこの悲惨な出来事を知らない者も存在する現状を、私たちは重く受け止めなければなりません。本記念集会は、薬害エイズ事件の歴史と教訓を風化させることなく次世代に確実に伝え、二度と同じ過ちを繰り返さないために極めて重要な役割を担っていると思います。
現在、HIV感染症の治療は確立され、多くの方が治療の恩恵を受けられるようになりました。しかしながら、薬害被害者の皆様は、血友病に関連する関節障害やそれに伴う運動機能障害、加齢に伴う様々な慢性疾患の併発、肝癌をはじめとする悪性腫瘍の問題など依然として多くの医療的課題に直面しています。長期療養に関わる社会的・経済的な問題もあり、その困難は非常に多岐にわたっています。
ACCは、これからも薬害被害者の皆様の救済医療を最重要課題として位置づけ、一つひとつの課題に真摯に向き合い、解決に向けて全力で取り組んでまいります。被害者の皆様が安心して医療を受けられる環境づくりに、今後も変わらぬ決意で臨んでまいる所存です。今後ともどうぞよろしくお願いいたします。