薬害エイズ和解記念集会
エイズ治療・研究開発センター 救済医療室長 田沼順子 様
第一に、薬害エイズ被害によりお亡くなりになられた皆様に心よりお悔み申し上げるとともに、療養中の皆様の一層のご健康をお祈り申し上げます。
私は、過去8年間、国立国際医療研究センターエイズ治療・研究開発センターの救済医療室において、薬害エイズ被害者の個別支援の最前線に従事し、被害者を取り巻く医療状況の現場をみつめてきました。その間、様々な経験をさせて頂き、実に多くのことを患者さんの声から学びました。
薬害エイズ対応では、HIV感染リスクを知りながら医師は汚染された血液製剤を投与し続け、他の医療従事者もそれを止めなかったとして、医療界に不信感を抱いた患者さんも少なくありません。薬害エイズ事件で失われた医療への信頼を回復させることは、被害者救済において極めて重要なミッションだと考えております。時代とともに医療安全や患者中心の医療への取り組みの意識は高まってきています。しかし、未だに医療の信頼を揺るがすような事案が散見され、取り組みの手を緩めることはできないと感じます。
犠牲となった命を決して無駄にせず、未来のより良い医療のためにこの教訓を最大限生かすべく、引き続き邁進してまいります。