薬害エイズ和解記念集会
新潟大学医歯学総合病院 病院長 冨田善彦 様
薬害エイズ裁判の和解から今年で 27 年となりますが、被害の発生はさらに年月をさかのぼり、血友病薬害被害者の方々におかれましては、これまで大変なご苦労をされてきたものと思います。その間に HIV に対する治療は大きな進歩を遂げましたが、一方で被害者の方々をめぐる医療環境は多様化・複雑化の一途をたどり、その対応が急務です。
本院は、関東・甲信越のブロック拠点病院を拝命してから、ブロック域内全体におけるエイズ対策の均てん化を目標に、各地域における中核拠点病院との連携強化と、それぞれの持つ課題の把握、その解決のための支援や提言に取り組んで参りました。引き続き長期療養への対応を念頭に、自施設およびブロック内における診療の水準を高めるとともに、医療福祉の途切れのない環境整備に努め、実効性のある被害救済に結びつけていきたいと考えております。
また、新型コロナウイルス感染症の今後の動向が気になるところですが、本院では HIV 感染症をはじめ重症化のリスクを持つ方が多く通院されていることからも、その対応策との両立を図りながら、HIV 診療体制の堅持に努めて参ります。
そのためにも、本院の掲げる理念「生命と個人の尊厳を重んじ、質の高い医療を提供するとともに、人間性豊かな医療人を育成する」を HIV 診療の領域においても実現できるよう、人材の確保と育成を進め、被害者の皆様の生命を守るべく、職員が一丸となり、新たな決意のもと取り組んで参ります。