薬害エイズ和解記念集会
新潟大学医歯総合病院 病院長 冨田善彦 様
薬害エイズ裁判の和解から今年で26年となりますが、被害の発生はさらに年月をさかのぼり、血友病薬害被害者の方々におかれましては、これまで大変なご苦労をされてきたものと思います。その間にHIVに対する治療は大きな進歩を遂げましたが、一方で被害者の方々をめぐる医療環境は多様化・複雑化の一途をたどり、その対応が急務です。
本院は、関東・甲信越のブロック拠点病院を拝命してから中核拠点病院との連携強化と、それぞれの持つ課題の把握、その解決のための支援や提言をして参りました。さらにこの動きを中核拠点病院から拠点病院へと広げることを目指し、また、ブロック域内全体におけるエイズ対策の均てん化を目標に活動して参りました。さらに、長期療養への対応を念頭に、本院では、診療の水準を高め、全科による網羅的な対応を進めるとともに、医療福祉の途切れのない環境整備に努めて参ります。お一人お一人で異なる課題に真摯に取り組みながら、実効性のある被害救済に結び付けていきたいと考えております。
また、依然として新型コロナウイルス感染症が猛威を振るうなか、本院ではHIV感染症をはじめ重症化のリスクを持つ方が多く通院されていることからも、その対応策との両立を図りながら、HIV診療体制の堅持に努めて参ります。
そのためにも、本院の掲げる理念「生命と個人の尊厳を重んじ、質の高い医療を提供するとともに、人間性豊かな医療人を育成する」をHIV診療の領域においても実現できるよう、人材育成を進めるとともに、被害者の皆様の生命を守るべく、職員が一丸となり、新たな決意のもと取り組んで参ります。