薬害エイズ和解記念集会
エイズ治療・研究開発センター センター長 岡慎一 様
今年のテーマは、「遺族の現状と今後について」と伺っています。まずは、ご遺族の方々へ心よりお悔やみを申し上げます。
大切な、そして最愛のご家族をエイズで亡くされたご遺族の悲しみは、消えることがないと思います。治療法が進歩し、HIV感染者の予後が良くなった今、ますます、その治療に間に合わなかったことへの口惜しさや悲しみが込み上げてきているかもしれません。
現在のHIV感染症の治療法の進歩は、決して薬剤の開発だけによるものではありません。むしろ、治療法が不完全だった時の、何とかしたいという手探りの中から学ばせていただいたことの大きさが、今の治療を支えているといっても良いと思います。その意味で、ご遺族の方には大変失礼かもしれませんが、当時の苦しい治療に耐えてくださった方々への感謝の気持ちを忘れることはありません。
治療法が進歩したとはいえ、薬害原告団の方々の原状回復へのゴールには程遠い状態にあります。今後とも越えなければいけない医学的課題は、HIV感染症を超え、癌、血管障害、心の問題など山積しています。これらの問題に対し、ACC職員一同一丸となって戦っております。今後とも、温かく見守っていただければ幸いです。