薬害エイズ和解記念集会
薬害エイズ裁判 和解24周年に寄せて 枝野先生インタビュー
主催者あいさつ
薬害エイズ裁判は、本年3月29日で和解から24年を迎えます。毎年、この時期に被害者の現状を広く社会に知ってもらい、そして尊い命を奪われた被害者を追悼する和解記念集会を実施しております。しかし、今般の新型コロナウイルスの感染が拡大している社会的状況を受け、断腸の思いで本年の和解記念集会は中止といたしました。新型コロナウイルス感染拡大は、HIV感染症と同じく、未知のウイルス感染症への対応の問題であり、国がHIV感染症の教訓を十分生かせていない現状を目の当たりにするとき、被害者として強い憤りを覚えざるを得ません。またエイズパニック時同様に、情緒的危機感をあおるメディア報道も多く見られることに対しても怒りの念を感じています。
こうした状況の下で私たちの和解記念集会が開催できない状況に追い込まれてしまったことについて、極めて残念に思います。
薬害エイズ被害の現状は、決して予断を許すものではなく、患者は40年近くもの長い年月のHIV持続感染により、悪性腫瘍や心血管疾患など深刻な病状を発症してきており、また高齢化などに伴う生活面での不安も増してきています。また最愛の家族を奪われた遺族についても、年月が胸をえぐるようなその悲しみをいやすことはできず、年月を経るにつけ、その痛みは増す一方です。とりわけ、激烈な偏見差別の中で、人生を曲げられてしまった被害者の人生の回復はできていません。
昨年中も4名の被害者が亡くなっており、薬害エイズ裁判の提訴者1384名中すでに717名の命が奪われてしまいました。被害はまだまだ現在進行形で続いており、引き続き皆様のご支援、ご協力をいただきながら、国が約束した恒久対策が果たされるよう、深刻な被害の実相を訴え続けていきます。そして、薬害再発防止、感染症対策など国民の命を守るという国の責務を果たさせるよう、訴え続けます。
本年の和解記念集会で予定しておりました、枝野幸男衆議院議員の講演につきまして、枝野先生のご協力をいただき、収録・web配信という形でみなさまにお届けすることといたしました。和解成立当時の政治の側面から見た状況や、枝野先生自身の思い、そして薬害エイズ事件が与えた影響など、貴重なお話をいただきました。ぜひご覧ください。
また、来賓の皆様から頂きましたメッセージもご紹介しております。こちらもぜひご覧ください。
本年の和解記念集会は中止としましたが、引き続き和解記念集会を開催してまいります。来年は歴史的な和解成立から25年という、一つの節目の年を迎えます。新型コロナウイルスの感染拡大という事態があっても、私たちは被害者の命を守るため、救済への取り組みを緩めることはありません。むしろ、健康状態の悪化が加速度を増している被害者救済のためには、これまで以上に迅速で、密度の濃い対応を進めていかなければなりません。24周年に寄せて、あらためて皆様にこの思いを伝えるとともに、本年開催できなかった分も含め、25周年はより内容の濃い記念集会を開催したいと考えております。多くのみなさまのご参加をお待ち申し上げます。
東京HIV訴訟原告団 代表 後藤 智己
大阪HIV訴訟原告団 代表 花井 十伍
薬害エイズ裁判 特別インタビュー
枝野幸男先生のインタビューをYouTubeで3月29日から5月15日まで、期間限定で公開しております。
当初は4月30日まででしたが、できるだけ多くの方にご覧いただきたいと思い、枝野先生にお願いをしたところ、ご快諾いただきました。ありがとうございました。
https://www.youtube.com/watch?v=FKf9b1Hyop4
薬害エイズ裁判 和解記念集会 メッセージ集
国立国際医療研究センター
理事長 國土 典宏 様
薬害エイズ裁判和解24周年記念集会の開催に敬意を表しますと共に、残念ながら亡くなられた方への追悼の会を兼ねておられるとのこと、私からも追悼の意を表したいと思います。
国立国際医療研究センター(NCGM)といたしましては、エイズ治療・研究開発センターのみならず、全科を挙げて救済医療に取り組んでまいりました。この1年を振り返りましても、血友病HIV感染者のための消化器科・放射線科と共同しての癌スクリーニングや、循環器科との虚血性心疾患クリーニング、リハビリ科とのリハビリ検診会などを行い、一定の効果を上げつつあります。
また、PMDAからのデータを用いた全国の血友病HIV感染者の方々の救済医療に関しましても、はばたき福祉事業団との協力でその活動が軌道に乗り、具体的な救済事例があがりつつあると伺っております。今後も、この様な救済医療としての活動を着実に遂行していくことをお約束いたします。
本年の記念集会は、枝野衆議院議員からのお話が伺える重要な機会ではありますが、当日は先約がありまことに申し訳ございませんが、今年も参加がかないません。出席に変わり、不足とは存じつつメッセージを送らせていただきます。
新潟大学医歯学総合病院
病院長 冨田 善彦 様
薬害エイズ裁判の和解から今年で24年となりますが、被害の発生はさらに年月をさかのぼり、血友病薬害被害者の方々におかれましては、これまで大変なご苦労をされてきたものと思います。
本院は関東・甲信越のブロック拠点病院を拝命してから、中核拠点病院との連携強化と、それぞれの持つ課題の把握、その解決のための支援や提言をして参りました。さらにこの動きを中核拠点病院から拠点病院へと広げることを目指し、また、ブロック域内全体におけるエイズ対策の均てん化を目標に活動して参りました。
これまでに、抗HIVに対する治療は、大きな進歩を遂げましたが、一方で被害者の方々をめぐる医療環境は多様化・複雑化の一途をたどり、その対応が急務です。こうした状況を踏まえ、本院では、診療の水準を高め、全科による網羅的な対応を進めるとともに、医療福祉の途切れのない環境整備に努めて参ります。さらに、ACC救済医療室との密接な連携により、被害者の個別救済に柔軟に取り組んでいければと考えております。
本院の掲げる理念「生命と個人の尊厳を重んじ、質の高い医療を提供するとともに、人間性豊かな医療人を育成する」をHIV診療においても実現できるよう、人材育成を進めるとともに、職員が一丸となり、また被害者の皆様の生命を守るべく、取り組んで参ります。
国立病院機構 大阪医療センター
院長 是恒 之宏 様
この度は、和解24周年記念集会のご案内を頂きありがとうございました。今回は海外出張のため出席できませんが、大阪医療センターとしては今後とも職員一同、薬害エイズの被害に遭われた患者様、ご家族の方々に真摯に対応して参ります。
国立病院機構 九州医療センター
院長 森田 茂樹 様
東京・大阪の薬害エイズ訴訟の和解が1996年3月29日に和解が成立し、今年で24周年を迎えるにあたり、国立病院機構九州医療センターは九州ブロックの拠点病院として今年も患者の皆様の支援・救済に全力を尽くして取組む所存です。和解24周年記念集会が盛会となりますことを祈念申上げます。
日本赤十字社
社長 大塚 義治 様
東京・大阪の薬害エイズ訴訟の和解成立より、本年で24年を迎えました。これまでに亡くなられた方々に対し、謹んで哀悼の意を表しますとともに、今なお苦しんでいらっしゃる方々に、改めてお見舞いを申し上げます。
薬害エイズは、医療の安全性・信頼性の根幹を揺るがす大事件であり、大きな社会問題となりました。日本赤十字社は当時、血漿分画製剤を製造・供給しており、それを使われる方々の「命と尊厳が守られるよう安全な血液製剤を供給する」という重大な使命を、改めて認識する契機となりました。
日本赤十字社は、平成24 年に血漿分画製剤の製造を一般社団法人日本血液製剤機構に委ねましたが、国内で製造に用いられる原料血漿の供給を引き続き行っております。提訴から31 年、和解成立から24年、薬害エイズは風化させてはならない歴史であり、同じ悲劇が二度と繰り返されないよう、我々日本赤十字社は、安全な輸血用血液製剤を安定的にお届けすること使命として、より一層の努力を重ねてまいります。
参議院議員
森 ゆうこ 様
薬害エイズ裁判和解二十四周年記念集会開催にあたり、改めて被害にあわれ、亡くなられた方々に哀悼の意を表しますと共に、今なお被害に苦しまれている方々に、心からお見舞いを申し上げます。
薬害エイズ問題を契機として、行政の透明性、公正性がより一層求められ、この間、公文書管理や情報公開制度の充実が図られてまいりました。そして、一昨年の四月一日より製薬企業の情報公表等に対して義務措置を課す臨床研究法が施行されました。
この間の関係各位のご尽力に深く敬意を表します。
一日も早く、命と生活を守り国民を幸せにする政治を実現するために、国政の場で微力を尽くしてまいります。
被害にあわれた皆様にこれからも寄り添いながら、第二の薬害エイズ問題がおきないように最善を尽くすことをお誓い申し上げ、ご挨拶といたします。