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≪ HIV/HCV重複感染患者の進行性肝線維化 HAARTや合併症のリポジストロフィーが影響するとの報告から ≫

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  • 2011.9.21

タイトル: [ HIV/HCV重複感染患者におけるHAART服用および合併症

           であるリポジストロフィーが進行性肝線維化に及ぼす影響 ]


( Impact of HAART exposure and associated lipodystrophy on
        
          advanced liver fibrosis in HIV/HCV-coinfected patients.)


著者:Loko MA, Bani-Sadr F, Winnock M, Lacombe K, Carrieri P,

           Neau D, Morlat P, Serfaty L, Dabis F, Salmon D;

出典:「 J Viral Hepat. 2011 Jul;18(7) 」から


要旨:HIV/HCV重複感染患者における抗レトロウイルス薬剤服用と、合併症

  であるリポジストロフィーやインスリン耐性は、十分に実証されてい

  ない。

   ANRS CO13 HEPAVIH コホートを含むHIV/HCV重複感染患者671例で、

  進行性肝繊維化(肝剛性9.5kPa以上)と関連因子の有病性を決定し、高

  活性抗レトロウイルス治療とその主要な有害事象(リポジストロフィー

  およびインスリン耐性)に注目した。

   進行性肝繊維化は190例(28.3%)であった。

   単量解析で、進行性肝繊維化は、男性、高い肥満度指数(BMI)、静注

  を介してのHCV感染、CD4細胞数低値、長期にわたる抗レトロウイルス治

  療薬、プロテアーゼ阻害剤、非核酸系逆転写酵素阻害剤(NNRTIs)や核酸

  系逆転写酵素阻害剤(NRTIs)、リポジストロフィー、糖尿病、ホメオスタ

  シス・モデル評価(HOMA)(訳注*インスリン抵抗性指数)上昇と有意に関

  係があった。

   進行性肝線維化を伴う抗レトロウイルス単剤は、エファビレンツ、スタ

  ブジンおよびジダノシンであった。多変量解析で、男性(オッズ比2.0、95%

  信頼区間1.1-3.5; P=0.018)、静注を介してのHCV感染(オッズ比2.0、95%信

  頼区間1.1-3.6; P=0.018)リポジストロフィー(オッズ比2.0, 95%信頼区間

  1.2-3.3; P=0.01)。ジダノシン服用、5カ月超、中央値(オッズ比1.7, 95%

  信頼区間1.0-2.8; P=0.04)および高いHOMA値(オッズ比1.1,95%信頼区間1.0

  -1.2; P=0.005)は有意に進行性肝線維化と関係があった。

   それゆえに、ミトコンドリア毒性およびインスリン抵抗性IRは、HIV/HCV

  重複感染に伴う肝障害で重要な役割を果たすようにみえる。抗レトロウイル

  ス治療を選択し最適化するときは、このことを考慮しなければならない。

   強いミトコンドリア毒性を有する(ジダノシンなど)あるいは糖代謝に

  主要な影響を及ぼす抗レトロウイルス剤は禁忌である。


  略語説明:ANRS CO13 HEPAVIH
      2006-2010フランスで実施されたHIV/HCV重複感染者を対象とする前向
     き試験参考文献:BMC Infect Dis. 2010 Oct 22;10:303.
     The French national prospective cohort of patients co-infected
      with HIV and HCV (ANRS CO13 HEPAVIH): early findings, 2006-2010.

 ※コメント

  抗HIV治療は、抗ウイルス剤を組み合わせて治療するHARRT治療が導入されて

 から劇的に感染者の平均余命が上昇しました。しかしながら、長期間の抗ウイルス

 剤服用に伴う代謝異常などの副作用が問題となってきます。体脂肪分布、脂質異常

 症及びインスリン耐性などが特徴づけられるリポジストロフィーは、HARRT療法で

 あるヌクレオシド系逆転写酵素阻害薬、非ヌクレオシド系逆転写酵素阻害薬および

 プロテアーゼ阻害剤の服用による有害事象です。

  以前に、長期間の抗ウイルス治療、プロテアーゼ阻害剤、ヌクレオシド系逆転写

 酵素阻害薬および非ヌクレオシド系逆転写酵素阻害薬、エファビレンツ、スタブジ

 ン及びジダノシン副作用がリポジストロフィー危険性を報告があります。

  抗ウイルス剤が肝線維化に影響を及ぼすかは論文報告でも議論の分かれるところ

 です。しかしながら、著者らの研究では、多変量解析によりネビラピン、ジドブジン、

 アバカビルおよびテノフォビルとは逆にエファビレンツ、スタブジン及びディダノシ

 ン服用と肝線維化との間に関係性がみられました。

  特に、ジダノシンはリポジストロフィーとは別に肝線維化と結びついていました。

  これは、ジデオキシドヌクレオチドがミトコンドリア毒性を有している点とジダノ

 シンが肝炎を罹患していない患者で肝疾患が進行しているとする他グループの報告を

 裏付けるものであります。

  このほかにインスリン耐性が、リポジストロフィーとは別に肝線維化と重症度との

 関連性がみられました。インスリンと肝線維化とのつながりをみる生物学的なメカニ

 ズムはよく理解されていません。

  ミトコンドリア毒性とインスリン耐性がHCV/HIV重複感染者の肝機能障害に重要な

 役割を果たすとしています。抗ウイルス治療を行う際は、強いミトコンドリア毒性を

 もつもの(例えば、本論文の多変量解析みられたジダノシンなど)あるいは糖代謝に

 強い影響を及ぼすものは、HCV/HIV重複感染者の治療をおこなうさいは避けなければ

 ならないとしています。

                                                                        (E.M)

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