【BSE】遺伝性のBSE確認 食べ物経ず自然発病 米農務省
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- 2008.9.25
牛海綿状脳症(BSE)で、原因物質の「異常プリオンたんぱく」に感染したのではなく、遺伝子の変異で自然発病したと見られる牛を、米農務省のチームが見つけた。
遺伝性のBSEが確認されたのは初めてだ。
9月12日付の米科学雑誌プロス・パソジェンズに発表した。
約10歳の雌で、アラバマ州で見つかった。
遺伝子を調べたら、プリオンたんぱくの構造を決める遺伝子に変異があった。
この変異は、BSEに似た病気で人間がかかるクロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)のうち、遺伝性の症例で見つかる変異と同じだった。
BSEは1980年代に英国で大発生した。
BSEに似た病気で(スクレイピー)にかかった羊の肉骨粉を含んだ飼料を牛が食べ、羊の異常プリオンたんぱくに感染したのが原因と考えられた。
このため、現在は世界各国で飼料に肉骨粉が混入しないような対策が取られている。
チームは、今回の牛の遺伝子変異が見つかる確率は2千分の1以下で、極めて低いと見積もっている。
だが遺伝性BSEが見つかったことで、BSEの発生は飼料対策だけでは防げないことになる。
平成20年9月14日付「朝日新聞 ワシントン=勝田敏彦記者」より