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[薬害根絶『誓いの碑』建立に関する、HIV訴訟原告団と厚生省医薬安全局長(当時)の合意事項確認書を見つめて]

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  • 2017.8. 4
 
 
 2017年も製薬企業の不祥事相次ぐ、薬剤関連を含む医薬の安全管理、倫理性、
 
 法令遵守に不安
 
 
直近では、「バイエル薬品の副作用報告漏れが85件、その中に3件の死亡例が含まれている。
 
この件については、「副作用報告遅延問題」とも言っているが、副作用報告は迅速さが要で、
 
報告遅れはもってのほかなのに、学会等で副作用症例の話を同社員が聞いていて報告が出て
 
いなかったのは、人の命に直結する製薬企業としてあるまじきこと。厚生労働省として、厳
 
格な調査をして医薬品医療機器法上の義務を果たしていないとすれば、厳しく罰するなど対
 
処が必要と考える。また、4月には同社員の内部告発で、服薬アンケートに回答した患者のカ
 
ルテを無断閲覧問題を起こしていることが表面化している。
 
なお、バイエル薬品は薬害エイズ裁判の被告5社の一つとして民事責任が課せられている。
 
裁判和解で約束されている医薬品の安全管理には強い責務を負っているはずだ。
 
日本の製薬企業の海外業務展開では、アステラス製薬が英国で医師への情報提供でのコンプ
 
ライアンスが問われて2016年に英国製薬協議会から1年の会員資格停止処分を受けていて、そ
 
の後患者支援プログラム運営方法や副作用報告漏れから同会員資格停止処分が1年延長してい
 
るという。(2017年7月12日付「日刊薬業」より)
 
今年前半でこれが製薬メーカーかと怒りを覚えたのは、和歌山県の原薬メーカー「山本化学」
 
の起こした無届の中国製品を同社製品に混ぜていた問題だ(6月22日発覚)。風邪薬の成分と
 
して使われる解熱鎮痛薬「アセトアミノフェン」製造の国内最大手の原薬メーカー。同社は
 
無届で自社製品に中国製アセトアミノフェンを混ぜて出荷。医薬品の製造方法や原料を変更
 
する場合、審査を担う医薬品医療機器総合機構(PMDA)の承認を得る必要があり、その届け
 
出を怠っていた。遡ると同社は2009年から米国産原料から製造したアセトアミノフェンに、
 
安価な中国製を混ぜていたほか、原料にも中国産を無届で使用。2015年11月から、抗てんか
 
ん薬の成分であるゾニサミドの製造にも、使う薬剤を無届で変更した。和歌山県は山本化学
 
に22日間の業務停止命令を科した。(2017年6月29日付「日本経済新聞/共同」より)
 
 
厚生労働省の玄関先に、薬害エイズ事件の反省を込めて1999年に「薬害根絶『誓いの碑』」
 
が建立されている。先の化血研問題でコンプライアンスの問題、また製薬企業の社会的責務
 
や倫理規範の重要性が報道、また国の審議会等々で嫌というほど問題化していた。しかし、
 
内外大手製薬会社、また山本化学のような薬品原料製造メーカーでの事件、コンプライアン
 
ス課題は解決できずにいる。今なお国民の医薬品安全確保に危惧を感じる。
 

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