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[ 日本の医療機関のHIV・AIDS偏見・差別の実態から生じた、HIV陽性看護師への就労差別事件、福岡地裁久留米支部は不当行為判決! 薬害エイズ事件から30年経過してもこの体たらくの医療、国はしっかり是正すべき ]

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  • 2014.8.15
 
  「日本でのHIV偏見・差別の最大の未解決拠点・医療機関で起きた
 
   HIV感染医療従事者への就労制限、不当行為と判決! 医療者・
 
   医療機関幹部のいまなお差別をまかり通す対応が問われた」
 
 3年前大学病院を受診しHIV検査結果を勤務先の病院へ伝えられたため、勤務先病院
 
から仕事を休むようにと就労制限を強要され退職をせざるを得なくなったとして、看護師
 
が勤務先病院を訴えた裁判の判決が2014年8月8日に言い渡された。
 
 福岡地方裁判所久留米支部(須田啓之裁判長)はHIVで就業制限をするのは不法行為
 
と原告の元看護師の訴えを認め、病院に約115万円の賠償金を支払うよう命じた。
 
 
 この事件の背景には、病院側のHIV感染している医療者が患者に感染させるリスクが
 
あるとした、極めて現在のHIV医療以前の古い考え、偏見からの「感染者を忌み嫌う、
 
排除する」という感覚で対応している結果が招いた事件だと考える。
 
 1980年始めに起きた薬害HIV感染訴訟で医療機関での差別的対応で多くの被害者が医
 
療から放置されたことを反省し、1996年同訴訟の和解に基づく患者が参加してのHIV医
 
療体制構築の中で医療者に対しての教育啓発、偏見・差別によって生ずる就労制限などが
 
あってはいけないとする厚生労働省のガイドライン(1998年公布、2010年改訂)を作成し
 
た。
 
 また、HIV訴訟原告団は、不当な事例があってはならないとして、定期的に「エイズ
 
に関する関係省庁間連絡会議におけるHIV訴訟原告団との意見交換会」等でHIV感染
 
者等に対する社会環境が適切の守られているかどうかの話し合いを持っている。
 
 昨年は今回の事例も議題に、日本におけるHIV・AIDSに対する偏見・差別は医療
 
機関・病院に一番強く残っていることを問題にし、この度の事件も話し合い、厚生労働省
 
の職業安定局担当課から障害者(HIV感染者は免疫機能障害という内部疾患障害者)に
 
おいて、医療機関であるか否かに関わらず、採用段階や雇用においてHIV感染者だとい
 
うことを理由として、差別的な取り扱い、対応が職場において行われることはあってはな
 
らない、と回答を得ている。なお障害者雇用促進法の改正(正式には平成28年4月施行)
 
で募集・採用・採用後の処遇等、雇用に係わる全ての事項について障害を理由とする差別
 
的な取り扱いの禁止、障害者を職場において受け入れる場合は合理的な配慮の提供などを
 
事業者に義務付けている。
 
 
 こうした社会の変化・医療的変化も省みず3年という期間、原告を悩ませ裁判を押し通
 
してきた医療機関の姿勢は厳しく弾劾されて当然と思う。
 
 今回の判決で裁判長は、医師や看護師、その他医療関係者の中にもHIV感染者は日本
 
においても多数就労している。これらの人たちは、プライバシーを保つため相談のできな
 
い状況にある人も少なくないと聞く。
 
 人権感覚が育たない医療体制に対する強烈な警鐘として、医療体質の変革を期待したい。
 
 
 

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