「国立国際医療研究センター(NCGM)創立150周年、記念式典(12月3日)が開催された」
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- 2018.12.10
エイズ治療・研究開発センター(ACC)が設置されている、国立国際医療研究センター(NCGM)
創立150周年記念式典が12月3日に盛大に催された。
記念式典は、秋篠宮殿下・同妃殿下ご臨席のもと、帝国ホテルで開催された。
國土典弘同センター理事長が、NCGMの沿革を披露、秋篠宮殿下の「おことば」や根本匠厚生労働
大臣、日本医師会長、門田医学会会長、グエン・クォック・チェウ ベトナムナム共産党中央幹
部保健委員長らの来賓が祝辞が述べられた。
秋篠宮殿下が「おことば」で触れられた森鴎外が、国立国際医療研究センターの礎石ともいえる、
東京陸軍病院で軍医となり、陸軍軍医総監として当時使用していた机などが同センターに展示して
ある縁から、鴎外の子孫と國土理事長がセンター玄関におかれる鴎外像の序幕をして披露された。
旧陸軍病院時代からの150年、国立国際医療センターとなってから25年が経過した同センターの歴史
の重みは、式典に出席された医学会の重鎮のお歴々からも見て取れる。
今回の式典の表題が「歴史と伝統 そして飛躍」から、これから活躍が期待される、同センターの
若手秘蔵っ子のスピーチもあっても良かったのではとひそかに思った。
式典が終わり、記念講演が同センターと縁のある森鴎外の鴎外記念館長、山崎一顕氏(跡見学園理
事長)が、「森 林太郎・鴎外の医学上の業績」を講演。鴎外の軍医時代、ドイツ留学で近代医学
に感化された林太郎として日本の既成の医学会にぶつかったなどドエピソードを紹介、先見性あっ
たための挫折かとも思えた。しかし、先見を持った主張は、その後の医学界進展に反映されている
ようだ。最後に山崎氏は、林太郎の先見性を教訓に、国は学術・研究を大切にした投資が必要とい
う話で締めくくられた。次にノーベル生理学・医学賞を受賞された大村 智氏(北里大学特別栄誉
教授)が「微生物創薬に携わって半世紀」という題でスライドを使い講演された。世界的に有名で
すが、ユニークな視点で微生物の生産する有用な新規天然有機化合物の発見を目指して研究され、
すでに500種類以上の化合物を発見されている。発見された500種類以上の化合物の科学構造式が一
枚のスライドに全部散りばめたあるのは圧巻でした。その創薬から、感染症の治療薬、動物薬や農
業用薬品など多数のの有用な薬が開発・供給されている。
特に抗寄生中薬イベルメクチンは、熱帯病のオンコセルカ症、フィラリア症、疥癬などの治療・予
防に年間3億人に使われている。製薬会社との共同研究で効果的な研究開発を行い治療・予防で困
った人たちのために供給、使用特許料などを社会貢献に積極的に投入してきた。その貢献と実績が
ノーベル賞や文化勲章受章となっていると考える。
人のためにと今もって探求心旺盛に活躍されている講演を聴き、強く胸を打たれた。
記念講演は、治療・研究開発を目指した同センターの指針にも大きくつながるものと思う。
21年前、同センターにHIV裁判和解で、試験管・ウイルスを見ながら臨床にダイレクトに活か
すエイズ治療・研究開発センターを国立国際医療センターに設置した。その「治療・研究開発」が
近頃では多くの機関・場面で呼称されていることは発足させた私たちだけでなく携わるACC医療
スタッフにも嬉しいことと考える。一方、その中身が伴って実効を上げてもらうことが大切。大村
先生のような発想、研究開発、患者への効果を忘れずに、ACCスタッフは常に患者のことを考え
た同センターの運営に尽くしていただきたい。現在80名以上の被害者が国立国際医療研究センタ
ーで、ACCの管理のもとに、HIV感染症やその合併症、そして血友病を総合的に診療している。
その感謝と、創立150周年のお祝いを添えたい。
※記念式典会場、現在の帝国ホテル付近にあった兵隊仮病院が明治元年に開設されたのがルーツと
し1929年に現在の戸山に移転、東京陸軍病院、東京第一陸軍病院として長く陸軍の病院として存立。
、
戦後厚生省に移管され国立東京第一病院となる。国立病院医療センター、その後、国立療養所中野
病院を併合し国内第4番目のナショナルセンター国立国際医療センターが創設された。
1997年に薬害HIV裁判和解を経て国立国際医療センターに、エイズ治療・研究開発センターを開設、
2008年に国立精神神経センターも含めた組織統合をして、国立研究開発法人国立国際医療研究セン
ターとして現在に至っている。
研究と臨床が密接した形で診療に反映される形を提供する高度総合病院として多様疾患に対応をし
ている。