ヒューマンサイエンス(HS)振興財団報告書 「10年後に重要な疾患」にアルツハイマー、HIV/AIDSなど7疾患
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- 2011.5.11
ヒューマンサイエンス(HS)振興財団はこのほど、医師を対象としたアンケート調査「2010年度国内基盤技術調査報告書-2020年の医療ニーズの展望-」をまとめた。同報告書は「10年後に医療上特に重要となる疾患」として、「アルツハイマー病」「糖尿病」「HIV/エイズ」「うつ病」「肺がん」「血管性認知症」「CKD/慢性腎臓病」の7疾患を挙げている。
HS振興財団では、1994年以降、約5年に1度、国内の医療ニーズを調査し、同報告書を発行している。4回目となる10年度は、全国の医師256人を対象にアンケート調査を実施した。調査期間は10年9月1日~12月2日。
その結果、「治療満足度の低い疾患」では▽膵がん(10.7%) ▽血管性認知症(11.3%) ▽アルツハイマー病(12.0%) ▽繊維筋痛症(13.2%) ▽多発性硬化症(23.8%)が上位5位を占めた。同報告書では、膵がん、アルツハイマー病、血管性認知症の治療満足度で低い状態が続いているとする一方、多発性硬化症は過去5年間で向上していると分析している。
「治療満足度の高い疾患」は、▽高尿酸血症・痛風(92.6%) ▽アレルギー性鼻炎(90.5%) ▽喘息(89.7%) ▽不整脈(89.2%) ▽糖尿病(87.2%)などの順で高かった。特に「最近5年間に最も治療法が改善した疾患」は、▽慢性C型肝炎(42.9%) ▽HIV/エイズ(40.1%)関節リウマチ(37.4%) ▽糖尿病(36.1%) ▽慢性B型肝炎(34.0%)だった。
今回の要望については、行政に対して「承認迅速化とドラッグ/デバイス・ラグの解消」「国内未承認薬の早期承認」「後発医薬品よりも新薬開発のモチベーションが高まる体制づくり」「ワクチンの無料化」などを求めた。製薬企業に対しては、「希少疾患治療薬の開発」「薬剤知識の普及のための早く正確な情報提供」「ドラッグ・ラグ解消」「古くても効果のある薬剤の販売継続」などを挙げた。以下略
(平成23年4月14日付 「日刊薬業」から)
※C型肝炎ウイルス、B型肝炎ウイルス、エイズ原因ウイルス(HIV)などの感染症治療薬など、まだまだ国内での治療環境は製薬企業に対しての支援の弱さやドラッグ・ラグなど患者のニーズと乖離している。安全確保と治療推進の両立を図る政策を考えて健康政策の増進となるはず。