[ 腎疾患発症の可能性のある一般的な抗HIV薬について ] NHFメディカルニュースから
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- 2012.4.19
[ NHF(米国血友病財団) メデイカルニュース2月号から ]
「 腎疾患を発症させる可能性がある一般的な抗HIV薬剤 」
カリフォルニア大学サンフランシスコ校の最近の研究によると、HIV/AIDS
に対しての抗レトロウイルス剤の有効的でよく処方されている薬剤の一つで
あるテノフォビルは、腎障害や慢性腎疾患の重篤で進行性の危険性が伴うこ
とを示している。
本研究の主席研究員は、研究者、統計学者サンフランシスコVAメデイカル
センター(SFVAMC)のレベッカ・シュレザー博士である。
シュレザー博士と彼女の同僚は、1997年から2007年にかけて治療を抗レトロ
ウイルス治療で開始した10,841人の電子データを解析した。
対象者の中央値は、46歳、98%が男性であった。テノフォビル(ビリアード®)
により、腎疾患の既往症がない患者ですらも腎疾患になる高い危険性がある
ことを発見した。
テノフォビルは、錠剤であり、単独か他の抗HIV薬剤と組み合わせて服用する。
HIV患者の第一世代の薬剤であり、その有効性が支持されており、よく投与され、
ウイルス量をコントロールしている。
研究者は、各年でテノフォビルの治療により、蛋白尿の危険性が34%上昇、
急激な腎機能低下の危険性が11%、慢性腎疾患に進展する危険性が33%上昇する
ことを発見した。
こうした結果は、年齢や高血圧、糖尿病およびC型肝炎を罹患している患者の
他の要因とは独立している。テノフォビルの服用を中止した後、腎疾患合併症
の危険性が6カ月から1年もの間、危険性は上昇したままであった。
こうした有害事象は元に戻せない可能性があり、医療関係者に継続的に注意
深く患者を監視するように促していることを著者らは報告した。
「最善策は、医療関係者と共に継続して腎障害を監視することです。」とMPH、
SFVAMCの一般内科医長、UCSF、疫学および生物統計学の教授であるマイケル
・G・シュパック医学博士は述べている。
テノフォビルの危険性が、その便益より上回ると判断した場合のために早期
発見は最善の策である。
研究者は、本研究の限界の一つが、患者がテノフォビル服用を中止した後、
期間や経過観察が短いことを承知している。彼らの知見を裏付けるために更な
る研究が必要である。
本研究は、「HIV感染におけるテノフォビル投与と腎疾患リスクの関係性」
2012年2月4日号のAIDS journalのオンライン上で発表された。
Source*UCSFは2012年2月10日に公表された。
*コメント
テノフォビル(Tenofovir)は抗ウイルス薬の一つであり、フマル酸塩と
して販売されています。商品名はビリア―ドと呼ばれており、HIVやB型肝炎
の治療に用いられています。
日本ではJTグループの鳥居薬品から販売されています。以下は薬剤を販売し
ている製薬会社から一般向けにでている製品概要です。
抗レトロウイルス療法の組み合わせに用いられており、ご存じの方も多いと
思います。今回、紹介したメデイカルニュースによると既往症で腎疾患をも
つ人以外の服用のさいにもテノフォビルが腎臓へ及ぼす影響を考慮する必要
があるようです。 ( E.M )
参照:鳥居薬品ホームページから
〚製品概要〛
1.( 製品名 )
「ビリアード®錠300mg」(英表記:Viread®Tab.300mg)
2.( 一般名 )
フマル酸テノホビル ジソプロキシル
(英表記:Tenofovir Disoproxil Fumarate)
3.( 効能・効果 )
HIV-1感染症
4.( 用法・用量 )
通常、成人にはフマル酸テノホビル ジソプロキシルとして1回300mg
(テノホビル ジソプロキシルとして245mg)を1日1回経口投与する。
なお、投与に際しては必ず他の抗HIV薬と併用すること。
5.( 禁忌 )
本剤の成分に対し過敏症の既往歴のある患者
6.( 副作用 )
外国における抗レトロウイルス薬による治療経験患者及び未治療患者
を対象とした3つの二重盲検比較試験の48週までの評価において、本剤投与
群の912例中379例(41.6%)に副作用が認められた。
主な副作用は悪心、下痢、無力症、頭痛、腹痛、嘔吐及び浮動性めまい
等であり、胃腸障害が多かった。
自他覚症状を伴わない臨床検査値異常では、CK(CPK)増加、血中トリ
グリセリド増加、血中アミラーゼ増加等が多かった。重大な副作用として、
腎不全又は重度の腎機能障害、膵炎、乳酸アシドーシスがあらわれること
がある。