米国で22年ぶり国際エイズ会議 撲滅へ戦略議論 入国制限撤廃で実現
HOME > はばたきインフォメーションスクエア > HIV・薬害エイズ情報 > コラム
- 2012.7.26
≪第19回国際エイズ会議が 米ワシントンで7月22日より6日間の日程で始まる
これまでHIV感染者・エイズ患者の入国制限してきたことから米国での開催をボ
イコットされ続けてきたが、2009年制限撤廃したことから実現した≫
【ワシントン共同】
世界の政府関係者や専門家らがエイズ対策を討議する第19回国際エイズ会議が
22日、米首都ワシントンで6日間の日程で始まる。
同会議が米国で開かれるのは22年ぶり。患者、支援者らも含めて約2万5千人が
参加する。
主催者らは、抗ウイルス薬や予防に対する知識が充実し、死者数が減り始めた現状
を「エイズ流行の転換点にある」と位置付けており、会議はエイズ撲滅に向けた戦略
作りが重要なテーマとなる。
同会議は、エイズウイルス(HIV)感染者の入国を制限してきた米政府に抗議し
て、米国での開催を長い間拒否してきたが、2009年にオバマ大統領が入国制限の
撤廃を決めたために開催が実現した。
現代のエイズ禍は、感染病としては欧州でたびたび流行し「黒死病」として恐れら
れたペストに次ぐ深刻度とされ、これまでに世界で3千万人以上が死亡。
今も約3400万人(11年末時点)が感染している。
しかし、最近は明るい兆しもあり、昨年の死者数は、ピークだった05年に比べて
60万人減少し170万人となった。国連合同エイズ計画(UNAIDS)によると、
流行が最も深刻なサハラ砂漠以南のアフリカの国々でも徐々に抗ウイルス薬が届くよ
うになり、死者数は減少に転じた。
ただ、発展途上国のエイズ対策を支えてきた先進国からの資金拠出は欧州財政危機
などの影響で後退傾向にあるほか、途上国で治療を受けている患者も約800万人に
とどまる。
国連は15年までに、抗ウイルス薬治療を受けられる人を1500万人に増やす目
標を掲げているが資金は年間70億ドル(約5500億円)不足しているという。
会議の共同議長を務める米カリフォルニア大のハブラー教授は「今回は、エイズ撲
滅に向けた始まりとなる会議。米政府の指導力に注目が集まる」と話している。
(共同通信社 7月23日(月) 配信から)