〚 近ごろの医療情報等から(-2-) -2件 〛「 新しい難病対策の推進を目指す超党派国会議員連盟発足」、「動物愛護法改正案 実験動物の新たな規制見送りで成立」
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- 2012.9.20
『近ごろの医療情報等から -2-』
(3) ≪9月6日「新しい難病対策の推進を目指す超党派国会議員連盟」
設立総会開催≫
難病対策が見直しが図られ、ようやく医療・福祉・介護の流れの素地作りが
展開されようとしている。薬害スモンに対する研究班組織化が始まり、昭和46
年に医療費支給が開始された。これを契機に難病の対策に関心・要望が高まり、
翌年昭和47年「難病対策要綱」が定められた。
長いこと法的背景無く行われてきた大切な事業、医療環境、新たな難病の把
握、障害者自立支援法の改正などもあり、難病の枠組みの拡大や選択、難病患
者の社会的自立や介護など福祉サービスとつながりを持てる新たな難病対策を
目指しての超党派国会議員連盟が発足した。
9月6日、参議院議員会館講堂での設立総会、衆参国会議員本人が50人以上参
加、また招かれた難病団体等も大勢参加し、大きな講堂いっぱいとなった。
はばたき福祉事業団も参加させてもらい、各党の世話人代表者らからの意気込
みを聞いた。なお、議連の会長には、薬害エイズ裁判和解のころお世話になっ
た衛藤晟一参議院議員(自民党)が選出された。
参考:(難病センターの資料によるこれまでの難病要綱)
(1) 「原因不明、治療方針未確定であり、かつ、後遺症を残す恐れが少なくな
い疾病」
(2) 「経過が 慢性にわたり、単に経済的な問題のみならず介護等に著しく人
手を要するために家族の負担が重く、また精神的にも負担の大きい疾病」
また、症例数が少なく、原因不明で、治療方法が確立しておらず、生活面への
長期にわたる支障がある疾患については、
(1) 調査研究 の推進(難治性疾患克服研究事業:対象は臨床調査研究分野
の130疾患)、(2) 医療施設等の整備(重症難病患者拠点・協力病院設備)
(3) 地域におけ る保健・医療福祉の充実・連携(難病特別対策推進事業など)
(4) QOLの向上を目指した福祉施策の推進(難病患者等居宅生活支援事業)な
どの対策が行われている。
また難治性疾患克服研究事業における臨床調査研究対象疾患130疾患のう
ち、診断基準が一応確立し、かつ難治度、重症度が高く、患者数が比較的
少ないため、公費負担の方法をとらないと原因の究明、治療法の開発など
に困難をきたすおそれのある疾患については、
(5) 医療費の自己負担の軽減(特定疾患治療研究事業)対策をしている。
(4)≪8月29日 「動物愛護法改正案」が成立 患者団体や医療・研究機関
等が心配し懸念を表明していた、動物実験に関する新たな規制盛込み
は見送られた≫
8月28日、衆議院環境委員会は民主、自民、生活、公明の4党が議員提案
した動物愛護管理法改正案を全会一致で可決した。実験動物の福祉実現を
政府に求めた決議案も4党が提案し、全会一致で可決した。改正案は同日
に衆議院本会議に緊急上程され、全会一致(自民党は欠席)で可決、参院
に送られた。
民主党環境部門会議の動物愛護対策ワーキングチームは、改正案をまと
める際、実験動物に関する届け出制導入や利用数削減の義務化も検討して
いた。
しかし、厚生労働部門会議の議員らが医学・医薬研究を進める立場から
懸念を示した経緯がある。
最終的に、改正案そのものに実験動物の規制は盛り込まれなかった。
衆院環境委で可決した決議は、実験動物に関して以下の点を政府に求め
ている。▽実験動物の取り扱いに関する法制度の検討に際しては、関係者
による自主管理の取り組みおよび関係府省による実態把握の取り組みを踏
まえつつ、国際的な規制の動向や科学的知見に関する情報の収集に努める
▽関係府省との連携を図りつつ、代替法の選択(Replacement)、使用数の
削減(Reduction)、苦痛の軽減(Refinement)という3Rの実効性の強化な
どにより、実験動物の福祉の実現に努める-。
そして、翌日、8月29日、同法改正案は参議院本会議で全会一致で可決、
成立した。また、改正案のほか、衆院環境委が可決した付帯決議と同様な
内容のものが全会一致で可決。
改正案そのものには、懸念していた、実験動物に関する新たな規制は盛
り込まれていない。
なお、改正法には、ペットとしての対応で、生後56日を経過しない犬猫
について販売目的の引き渡しを禁じる条文などが加わった。
(平成24年8月29日、30日付 「日刊薬業」から)
※ 私たち患者団体が、動物愛護管理法の見直しが民主党環境部門・動物
愛護対策ワーキングチームで行われいて、その見直しの対象に同法41条
「動物を科学上の利用に供する場合の方法、事後措置等」も規制強化と
いう情報を得て、環境省や厚労省等々関係するその他の府省および関係
機関に詳細を出来るだけ集めました。
というのは、薬害被害患者・難病や希少疾患の患者、生涯安定した治
療の確保や新たな治療法の開発が必要な患者にとり、医薬品の安全性を
常に高め、薬害や副作用被害が生じないようにするため、貴重な命をい
ただくこともことも含め貢献してくれている法41条の実験動物に対する
扱いについて、・規制強化による科学領域に対する侵害の懸念 ・登録
強化を前提に、実験動物取扱全面禁止との過激な展開主張があることへ
の懸念 ・医薬品開発や新たな治療法開発など人の生命健康を守る科学
的進歩を遮る懸念
また提案として「動物愛護の精神を踏まえつつ、一般社会で共存する
愛玩動物(野生動物も含む)、科学・学問の発展に貢献する実験動物、
そして畜産などの産業動物それぞれについて、現実の社会構造を踏まえ
た信頼性・倫理感のある個別のルール作りが必要」との趣旨から同ワー
キングチームにおいて患者団体からの意見・要望を聴取する機会をいた
だきたいとお願いし、4月4日にその機会をいただき意見を述べ、要望書
を手渡した。また、その後、同法案の行方が情報として表面化してこな
いので、民主党国会対策委員長にも懸念や要望を伝えました。
この件の要望とりまとめに、多くの難病患者・希少疾患患者・がん患
者・薬害被害者等々に呼びかけました。賛同される団体は多かったので
すが、一部過激な愛護団体からの攻撃を恐れ、署名の名前に連ねるのは
伏せてほしいとの依頼は少なくなかったことには驚かされました。また、
期間が短く団体の機関決定ができないところもありご迷惑をおかけしま
した。また、私たちの要望を丁寧に聴取して下った国会議員の諸先生方
へお礼申し上げます。
改正法に実験動物に関する新たな規制が盛り込まれなかったことは、
みなさまの熱意が力らになったと確信しています。今後は、提案の内容
を生かすためにも現在の環境省一本化自体が不適切なので、それぞれの
所管を定め、最終的調整機関を内閣府など省庁を調整できるところを定
めるなど患者の視点で行動をしていきたいと考えます。
「動物愛護管理法の見直しにおける実験動物の扱いに関する要望」書、PDFはこちら