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世界血友病連盟(WFH)パリ大会 と 薬害エイズ事件

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  • 2012.6.16


世界血友病連盟パリ大会 & エンドレスの薬害エイズ被害者の闘病


来る7月8日から12日まで、世界血友病連盟の国際会議がフランス・

パリ市で開催される。

1980年初期に起きた、薬害エイズ事件は世界の血友病患者にたくさ

んの被害者を生み、短期間に血友病患者の歴史史上かってない多数の命

が奪われた。

しかも、現在もその被害者の闘病生活が続いている。


エイズの発生から約30年、パリ大会では薬害エイズ被害をどのように

取り上げるのか、参加して着目したい。


また、最近の血友病の治療方法などは、遺伝子治療の実用化や持続効果

がある製剤開発、インヒビター治療などの進歩等々の科学の発達に伴う

次世代的な治療が既にスタートしている。

四肢障害をつくらない、日常生活上のQOL向上を目指した定期補充療

法など、血友病患者の有り様が変化している。

しかし、このような恵まれた生活が送れる先進諸国の患者とは相反し、

凝固因子製剤が使えない患者や診断すらもつかない医療環境にいる患者

は、WFHによると世界では75%いるそうだ。


つい最近も、私たちのところへパキスタンの当事者団体から支援の依頼

が来た。遺伝子組換え製剤やさらに改良を重ねている製剤のニュースが

ある中で、自国の血液を有効利用した血液製剤も手に届かない患者がた

くさんいることは、何かできないのかと考えさせられる。


4月に毎日新聞に掲載された「米薬害エイズ 続く闘い  被害者 医

療費重荷に」という記事(薬害エイズ裁判和解前から取材を続けている

山科武司記者の米国取材記事)に、私たちは改めて新鮮に感じた。

近頃は、薬害エイズ事件や被害者のことを取り上げるマスコミは殆どな

くなった。

HIV/AIDSのことを取り上げる記事も少ない。


日本の薬害エイズ被害者、約1400人で、最近も毎年10人以上が

HIVとの合併症により亡くなっている。その亡くなった被害者数は、

6月15日現在、669人に達している。

同上新聞記事から見ると、米国の生き残っている被害者の治療費などは、

米国は世界でも劣悪といわれる自己責任の医療保険制度がいまだに続く

ところから、年間200万円以上負担に苦しめられているそうだ。米国被害

者の医療環境のあまりな現状を浮き彫りにした。

日本はどうかというと、皆保険制度や、裁判和解による国の責任による

恒久的被害救済が約束されている。こうした状況下とはあまりに違う国

情に驚かされる。

抗血友病製剤など米国発の新製品が世界に流れ込み、日本でもその売り

込み、そして高い薬価を押しつけてくることなどを考えると、企業倫理

の疑問や米国独特の弱肉強食の社会構造などを俯瞰すると、日本政府や

産業界が米国詣でする姿勢が信じられない。


また、薬害エイズ事件の反省から日本では血液法がつくられ、WHOが

決議した自国での供給体制を目指している。しかし、この法律を守るは

ずの国の腰砕けか、同紙面で紹介されている「依然として米国は血液製

剤の重要な輸出元だ。この点では両国とも教訓を学んでいない(「血液

を巡る確執」の著者・ペンシルベニア大学法科大学院フェルドマン教授)

」と言及されているのは最もと思う。国自体がさぼるのはどういうこと

だろう。


つい最近、公益財団法人献血供給事業団の青木繁之前理事長の藍綬褒章

受章を讃える会があった。青木氏は日本の献血推進運動の草分けで、献

血で日本国民の医療用血液製剤を賄うためにと尽力された功績により、

血液事業・献血普及運動で初めての褒章受章者だそうだ。

日本の誇る献血推進運動を進め文科省の学習指導要領にもようやく採用

されているのに、一方で医療経済優先で安価な海外血液製剤を医療機関

が率先して導入している姿、安いのだからしょうがないという医療者も

いるのは、薬害エイズ事件に絡む諸問題を教訓としていない。なんとも

泣けてくる。

青木氏が肝炎など黄色い血液問題や、エイズの危機管理を訴え米国など

の売血現状を取材しての新聞やTVでの提言が血液事業の軌道修正や薬価

差益の異常さが血友病エイズ被害拡大のもとでもあるとその是正が始ま

った発端でもあった。


献血者の思い、献血推進に努力を続けている青木氏の様な方たち、そし

て国策として打ち立てた法制度を日本全体で守らなくてはいけない。

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