第8回はばたきメモリアルコンサート 多数のご来場ありがとうございました
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- 2012.2.21
2月16日(木)、第8回はばたきメモリアルコンサートが開催されました。この日はみぞれまじりのたいへん寒い夜でしたが、会場の津田ホールにはおよそ300人の皆様にご来場を頂きました。
弦楽四重奏とピアノの奏でる曲とカウンターテナーの歌声による「天の父よ」でコンサートの幕が上がりました。今回のゲスト演奏家の一人、猫殿さんは豊かな響きのある歌声と素敵な衣装で聴衆を魅了し、さらに第1回のコンサートから参加されているモルゴーア・クァルテットと石岡久乃さんの演奏がいっそう引き立ててくれました。
続く池辺晋一郎先生作曲の「軌道エレベーター」では、もう一人のゲスト演奏家、サックス奏者の須川展也さんと猫殿さんとの共演。歌とサックスの掛け合いは、まるで劇を見ているかのようでした。
そして、須川さんとピアノの小柳美奈子さんとの演奏が2曲続きます。テンポの良い「ウードルズ・オブ・ヌードルズ」となじみ深い「アヴェ・マリア」。息のあった演奏でした。そして、期待の若手演奏家で、須川さんから手ほどきを受けた上野耕平さんも加わった「パガニーニ・ロスト」で第1部が締めくくられました。
このコンサートでは、毎回被害者の思いを詩にして、迫田朋子さんが朗読してくださいます。30代のある患者さんから、同じく薬害エイズの被害で亡くなった叔父さんに対する思い聞き取り、詩にしました。今年その患者さんは、叔父さんと同じ年齢になるとのことです。
そして、池辺先生が薬害エイズ被害者への思いを込めて作曲した、モルゴーア・クァルテットによる「やすらぎの翼」の演奏が始まります。詩の朗読の後の演奏は、特別な感情を抱かせてくれます。続く「弦楽四重奏曲」もモルゴーア・クァルテットがさすがと思わせる演奏でした。アンコールは、すべての演奏家による「愛の挨拶」。多彩な楽器と歌声によるコンサートの最後にふさわしい演奏で幕を閉じました。
このコンサートは、はばたき福祉事業団を支えてくださっているたくさんの方々のご協力によって実現しております。ご来場いただいた全ての皆様、またご後援を頂いた厚生労働省、日本赤十字社、日本製薬工業協会の皆様にも厚く御礼を申し上げます。
▼プログラム
ヘンデル:オラトリオ「マカベウスのユダ」HWV63より「天の父よ」
カウンターテナー:猫殿、モルゴーア・クァルテット、ピアノ:石岡久乃
池辺晋一郎:軌道エレベーター ~歌とサキソフォーンのために~ 詩:池澤夏樹
サックス:須川展也、カウンターテナー:猫殿
ドーシー:ウードルズ・オブ・ヌードルズ、カッチーニ:アヴェ・マリア
サックス:須川展也、ピアノ:小柳美奈子
長生淳:パガニーニ・ロスト
サックス:須川展也、サックス:上野耕平、ピアノ:小柳美奈子
詩の朗読と即興演奏
池辺晋一郎:やすらぎの翼 ~弦楽三重奏のために~
ヴァイオリン:荒井英治、ヴィオラ:小野富士、チェロ:藤森亮一
ラヴェル:弦楽四重奏曲 ヘ長調より 第1、3、4楽章
モルゴーア・クァルテット
▼コンサート当日の様子をご紹介します。写真をクリックすると大きくなります。
01.天の父よ 02.軌道エレベーター 03.ウードルズ・ 04.アヴェ・マリア 05.パガニーニ・ロスト
オブ・ヌードルズ
06.詩の朗読 07.やすらぎの翼 08.弦楽四重奏曲 09.愛の挨拶
と即興演奏
▼コンサートにご来場いただいた方からのメッセージを一部ご紹介いたします。
・末永くつづけてほしい。(80代男性)
・サックスやカウンターテナーなど、いつもとちょっと趣向が変わっておもしろい。(60代男性)
・サックスの演奏が圧巻だった。(30代男性)
・とにかくレベルが高い。そしておもしろい。出演者と選曲に拍手。須川さんすごい! 池辺先生のお話の通り!あらためてこのコンサートの意義を認識した。このレベルを保ち、良質のコンサートをこのまま続けて欲しい。(60代女性)
・このまま続けてください。新人演奏家の登場も楽しみです。(60代女性)
・軌道エレベーターはとても良かったです。透明な世界に引き込まれました。(60代女性)
・いつも会場が温かい雰囲気に包まれています。これからもどうぞコンサートを続けてくださいませ。いろいろ大変かと思いますが、毎年楽しみにしています。詩の朗読と池辺先生の演奏が毎回とてもすてきな大切な時間に思えます。(30代男性)
・魂のこもった熱い演奏を聴かせていただきました。勉強不足の私が悪いのですが、薬害エイズというものがどのような背景から起きて、このように苦しまなければならない人々が生み出され、どのようなことを教訓として周囲の人間が病気を抱えている人々に接していったら良いのか、お話いただけたらありがたかったです。今日の演奏会をきっかけに自分でも調べてみたいと思います。奏者の皆さん、スタッフの皆さん、どうもありがとうございました。私も音楽を志す者として、このようなメッセージ性の高い演奏会で弾けるようになるために頑張りたいと思います。(30代女性)
・様々なジャンルの音楽を聴けたので楽しかった。(30代女性)
・池辺先生がおっしゃるように、肩や腕を組んで共にさらに進もうという気持ちになりました。音楽を通じて命の尊さ、希望をもって生き続けることの大切さを伝え続けてください。(40代女性)
・毎回多様な演奏家の極上の音楽を聴かせていただいております。今回は私の大好きなバロック、カウンターテナー、全曲すばらしかったです。モルゴーア・クァルテットはすごかったです。来年は友人をもっとたくさん連れてきます。聴かせたいです。(50代女性)
・出演者の方々のコンサートへの想いが非常に伝わってきました。また、普段のクラシックコンサートでは聴けない演目も多く、とても楽しかったです。毎回、違う楽器の演奏があり、とても楽しく聴かせていただいています。引き続き、若い演奏家の新鮮な演奏を楽しみにしております。ただの演奏会ではなく、詩の朗読があり、とても良いと思います。はばたきの活動や薬害エイズに関する情報を、紙での配布だけでなく、ロビーなどにパネルで掲示してはどうでしょうか。(20代女性)
・演奏家が多彩。あたたかい。続けてください。(70代男性)
▼後援団体等からのメッセージ
厚生労働大臣 小宮山洋子
第8回はばたきメモリアルコンサートの開催を心からお慶び申し上げます。開催にあたりご尽力された、はばたき福祉事業団と関係者の皆様に深く敬意を表します。音楽は人々に感動を与え、そこに共感が生まれます。今回のコンサートがたくさんの人の心に響きわたり、それが大きな輪となってHIV感染被害者やご遺族の方々を支えていくことができるよう、心からお祈りします。厚生労働省としても、命の尊さを心に刻み、血液製剤によるHIV感染のような悲惨な被害を再び発生させることのないよう、医薬品等の安全性の確保と健康被害の再発防止に全力で取り組んでいきます。
日本赤十字社 社長 近衞忠煇
「はばたき福祉事業団」は、薬害エイズ被害者の救済団体として平成18年に社会福祉法人として設立されましたが、その後HIV感染者や血友病患者への支援を超えて、薬害の再発防止に向けた啓発教育を行うなど、活動の翼を大きく広げてこられました。「人間を救うのは、人間だ(Together for humanity)」をスローガンに、医療や血液事業に日々携わっている日本赤十字社の活動は、「はばたき福祉事業団」の行っておられる「命の尊さを実感できる活動」と相通ずる所があると常々感じております。命の尊さを響かせるこのコンサートを聴かれる多くの方々が、薬害エイズ被害者に思いを寄せ、薬害の再発防止に向けた活動に協力されることを期待し、第8回はばたきメモリアルコンサートが成功することを、心よりお祈り申し上げます。
日本製薬工業協会 会長 手代木功
第8回はばたきメモリアルコンサートの開催おめでとうございます。社会福祉法人はばたき福祉事業団におかれましては、「患者が変われば医療が変わる」を理念とされ、HIV感染症とその治療に関する情報の発信、HIV感染者の方々の就労支援、更生相談などの幅広い活動に加えて、はばたきメモリアルコンサートの実施により、多くの人々に命の尊さを考える機会を与え続けていただいています。私ども医薬品産業にとって、命の尊さは何よりも優先されるべきであることを常に念頭におき、世界の人々の健康と福祉に貢献できるよう努めてまいりたいと思います。
東京HIV訴訟原告弁護団長 弁護士 清水洋二
はばたき福祉事業団主催のメモリアルコンサートも、今年で8回を迎えることになりました。今年も、池辺晋一郎先生をはじめとする多くの演奏家や声楽家の皆さんのご協力により、沢山の魅力的な曲目が披露されます。昨年は、東日本大震災によって、多くの被災者が絶望のどん底に突き落とされましたが、そうした被災者の心に勇気と希望の灯をともしたのは、心ある多くの演奏家や歌手の方々による音楽の力でした。今年のコンサートは、このような音楽の力によって、従来にも増して、薬害エイズの被害者や遺族の方々に勇気と希望を与える充実した内容になるものと思います。はばたき福祉事業団に対する皆様方の変わらぬご支援を切にお願い申し上げます。
▼はばたき福祉事業団からのメッセージ
はばたきメモリアルコンサートにご来場くださり、心より御礼申し上げます。
本日開催いたしますコンサートは、血友病患者が治療に用いた血液製剤から約1,500人ものHIV感染被害が起きた薬害HIV感染被害が決して忘れられることのないようにと、音楽を通じて社会に伝えていきたいと続けてまいりました。被害者や支援者の思いをこめて始まりました本コンサートは、平成17年の初演から8回目の開催を迎えることができました。当初から信じられないくらい、音楽家や応援してくださる多くの方々からの心のこもったご支援により続いてきました。まさに、小さな清らかな雫が、大きな輪となりました。
今回はサックス奏者の須川展也さんとカウンターテナーの猫殿さんをゲスト演奏者にお迎えしました。須川さんはサックスを学ぶ若者たちのあこがれの存在で、今回の若手演奏家の上野さんも師事されています。また猫殿さんは須川さんとともに池辺晋一郎先生の楽曲を歌われています。そして、このコンサートの大切な曲となっております、池辺先生が薬害エイズ被害者への思いを込めて作曲してくださった「やすらぎの翼」は、おなじみのモルゴーア・クァルテットのメンバーが演奏してくださいます。そして、このコンサートをはじめるにあたりお力を発揮していただいた石岡久乃さんによる力強いピアノの演奏もあります。私たちが社会に伝える音楽のメッセージが、本日のコンサートを通じてより広く多くの方々の心に響いていくことを期待しています。
平成18年に社会福祉法人となりましたはばたき福祉事業団は、被害者の恒久的救済や被害者の犠牲の上に構築されている社会福祉、そしてHIV感染症などに対する差別・偏見の解消に努めています。また医療の更なる向上や安全な血液事業、医薬品の開発も含めてその進歩に寄与すべく、当事者視点による提案を行い、活動を続けていく所存です。薬害エイズ事件の教訓から、特に献血や安全な医療に対する感覚は幼少期の頃から育んでほしいと願っており、被害者からの発言も続けていきます。
感染被害から30年近くが経過しました。患者の体調は、原疾患である血友病に加えて、HIVやC型肝炎、さらに抗HIVの長期服用や高齢化による問題も顕著となり、悪化の一途をたどっています。また最愛の家族を亡くした遺族の悲しみは、時が経つごとにその深さを増していきます。
メモリアルコンサートに、このように大勢の方々がご来場くださることは、今も被害に苦しんでいる被害者への何よりの勇気づけになります。毎回、若い音楽家に作曲、演奏をしていただき、私たちもともにはばたいていきたいと願っています。これからも、みなさまの温かいご支援を賜りますよう心からお願い申し上げます。
最後になりましたが、コンサートを応援してくださいました、厚生労働省、日本赤十字社、日本製薬工業協会のみなさまには厚く御礼を申し上げます。
▼コンサートの軌跡
2005年2月18日(金):日本大学カザルスホール
池辺晋一郎:作曲家、総合音楽監督
荒井英治:ヴァイオリン
小野富士:ヴィオラ
藤森亮一:チェロ
湯本亜美:ヴァイオリン
石岡久乃:ピアノ
サン=サーンス(イザイ編曲):カプリース Op.52-6
<語らい>
池辺晋一郎:やすらぎの翼 ~弦楽三重奏のために~
チャイコフスキー:弦楽四重奏曲 第1番 Op.11より 第2楽章「アンダンテ・カンタービレ」
フォーレ:ピアノ四重奏曲 第1番ハ短調 Op.15
2006年2月16日(木):日本大学カザルスホール
池辺晋一郎:作曲家、総合音楽監督
神谷百子:マリンバ
金井勇:作曲家
戸澤哲夫:ヴァイオリン
小野富士:ヴィオラ
藤森亮一:チェロ
石岡久乃:ピアノ
村松 崇継:Spirit
竹島 悟史:A Letter(1.a favorite wooden chair、2.a cup of coffee、3.Dear...)
バッハ:G線上のアリア
金井勇:空の呼吸
池辺晋一郎:やすらぎの翼 ~弦楽三重奏のために~
モーツァルト:ピアノ四重奏曲 第2番 変ホ長調K.493
2007年2月28日(水):日本大学カザルスホール
池辺晋一郎:作曲家、総合音楽監督
安田祥子:声楽家
大杉光恵:ピアノ
松尾俊介:ギター
モルゴーア・クァルテット
荒井英治、戸澤哲夫:ヴァイオリン、小野富士:ヴィオラ、藤森亮一:チェロ
石岡久乃:ピアノ
フェルナンド・ソル:魔笛の主題による変奏曲
池辺晋一郎:6つの子守歌
<語らい>
ドヴォルザーク:「わが母が歌えたまえし歌」 他
池辺晋一郎:やすらぎの翼 ~弦楽三重奏のために~
プッチーニ:弦楽四重奏曲「菊」
シューマン:ピアノ五重奏曲 変ホ長調作品44
2008年2月29日(金):日本大学カザルスホール
池辺晋一郎:作曲家、総合音楽監督
高木綾子:フルート
津野田圭:ハープ
モルゴーア・クァルテット
荒井英治、戸澤哲夫:ヴァイオリン、小野富士:ヴィオラ、藤森亮一:チェロ
石岡久乃:ピアノ
カプレ:二つの嬉遊曲<フランスふう・スペインふう>
ジュナン:「ヴェニスの謝肉祭」
ボルヌ:カルメン幻想曲
モーツァルト:フルート四重奏曲KV285
<メモリー ~そのページを少しひらいて…>
池辺晋一郎:やすらぎの翼 ~弦楽三重奏のために~
ドヴォルザーク:ピアノ五重奏曲op.81より
2009年3月16日(月):日本大学カザルスホール
池辺晋一郎:作曲家、総合音楽監督
吉田秀:コントラバス
荒絵理子:オーボエ
モルゴーア・クァルテット
荒井英治、戸澤哲夫:ヴァイオリン、小野富士:ヴィオラ、藤森亮一:チェロ
プリムローズ・マジック
安宅薫、石岡久乃:ピアノ
ポンキエッリ:カプリッチョ」
モーツァルト:オーボエ四重奏曲 ヘ長調K.370
池辺晋一郎:ストラータⅣ-オーボエとコントラバスのために
F.プロト:カルメン幻想曲
ラヴェル:マ・メール・ロワより
<朗読>
池辺晋一郎:やすらぎの翼 ~弦楽三重奏のために~
ハイドン:弦楽四重奏Op.64-5「ひばり」より第1,第4楽章
シューベルト:ピアノ五重奏曲 イ長調 Op.114「ます」より第4楽章
2010年2月22日(月):日本大学カザルスホール
池辺晋一郎:作曲家、総合音楽監督
高橋敦:トランペット
山口綾規:オルガン
モルゴーア・クァルテット
荒井英治、戸澤哲夫:ヴァイオリン、小野富士:ヴィオラ、藤森亮一:チェロ
石岡久乃:ピアノ
ヘンデル:オルガン協奏曲 ヘ長調 Op. 4-4より 第1楽章
M.A.シャルパンティエ:「前奏曲」 ― 「テ・デウム」より
ヘンデル:「オンブラ・マイ・フ」 ― 歌劇「セルセ」より
池辺晋一郎:「リチェルカータ」 ― オルガンのために
ベルシュテット:ナポリの主題(フニクリ・フニクラ)による変奏曲
J.S.バッハ:主よ、人の望みの喜びよ― カンタータ第147番より
ヘンデル:組曲 ニ長調
<詩の朗読と即興演奏>
池辺晋一郎:やすらぎの翼 ~弦楽三重奏のために~
ドヴォルザーク:弦楽四重奏曲 第12番 へ長調 作品96「アメリカ」
2011年2月21日(月):津田ホール
池辺晋一郎:作曲家、総合音楽監督
横川晴児:クラリネット
小林亜矢乃:ピアノ
モルゴーア・クァルテット
荒井英治、戸澤哲夫:ヴァイオリン、小野富士:ヴィオラ、藤森亮一:チェロ
石岡久乃:ピアノ
リスト編曲(シューベルト歌曲より:糸を紡ぐグレートヒェン、水上にて歌う ~以上ピアノのための~
池辺晋一郎:バイヴァランスⅡ ~2つのヴァイオリンのために~
ルイ・カユザック:カンティレーヌ ~クラリネットとピアノのための~
シューマン:「夕べの歌」
<詩の朗読と即興演奏>
池辺晋一郎:やすらぎの翼 ~弦楽三重奏のために~
モーツァルト:クラリネット五重奏曲 イ長調「シュタードラー」K.581