薬害エイズ裁判和解20周年記念集会 300人以上が参加 風化傾向阻止、20周年『和解の精神を問い直す』
HOME > はばたきインフォメーションスクエア > HIV・薬害エイズ情報 > 薬害エイズ
- 2016.4. 6
【 薬害エイズ裁判和解20周年記念集会 300人以上が参加 】
「 風化傾向阻止、20周年『和解の精神を問い直す』」
「塩崎厚労大臣、和解の確約を言及、改めて被害の責任を深く自覚、
包括的な支援等の恒久的救済・支援を誠心誠意取り組む」ことを誓う。
化血研については、和解を背き、なお厚労省として不正が見抜けなかった
事態を真摯に受け止め、査察方法の見直し、再発防止と安心できる供給体
制確保に万全を期すと発言。
薬害エイズ裁判和解記念集会 2016年3月26日(土曜日)東京駅
に隣接したステーションコンファレンス東京 501ABで開催しました。
定刻14:00に開場、
大臣、大臣政務官、医薬・生活衛生局長、医薬担当大臣官房審議官が入場。
主催者を代表して 東京HIV訴訟原告団後藤智己代表、
大阪HIV訴訟原告団花井十伍代表 が開会挨拶。
続いて、被害者に対して、出席者全員で黙とう
ここ数年の和解記念集会の抜粋映像を背景に
大臣、大臣政務官、局長、遺族代表や薬害エイズ被害者の支援団体、来賓、
被害者や関係医療者ら、そして一般参加者が次々と献花。献花台が花束で
埋まっていきました。
厚生労働大臣挨拶
塩崎大臣が、20周年記念集会に当たり、亡くなった被害者への冥福を表明、
平成8年の訴訟和解の反省と確約を改めて言及した。和解から20年の節目、
厚労省が被害者との協議をしつつ進めてきた原状回復医療などの恒久対策や
遺族への相談事業などの取り組みを進めてきた一方、薬害エイズ裁判の被告
企業の犯した血液製剤製造にかかる不整合など化血研の和解の確約を背いた
長期にわたる組織的欺罔・隠蔽行為を厳しく非難した。また一方で今回の長
期にに及ぶ不正を見抜けなかった厚労省等の体制にも触れ、査察方法や再発
防止確保に万全を期すると約束した。
被害者の今後には、高齢化や年月の経過で多様な症状・障害のための厳しい
療養生活、医療や福祉、生活面で困難が生じていることの認識をしているこ
とや、遺族の言えることのない悲しみの共有などを述べ、こうした被害発生
に対する責任を深く認識したうえで各種施策による包括的な支援の確保、遺
族の相談事業を誠心誠意取り組んでいくことを誓った。
川田龍平参議院議員は、原告の一員として裁判参加、自らの裁判活動を振り
返りながら、薬害被害者としての国会議員活動を通し、薬害再発防止に全力
を注ぐことを発言。
笹川 堯献血供給事業団理事長は、20数年と長期の衆議院議員経験で血友
病感染被害について、関西の被害者から救済として500万円/1人との陳情を受
けた話しとか、献血供給事業団の会長として、自分自身でサンフランシスコまで
出かけて売血を自分の目で確かめ、これはもうたいへんなことだということで、
直ちに販売を停止し、被害を最小限度で食い止めることができ、おかげで献血
供給事業団は、取り締まりを受けることもなく、もちろん訴追を受けることも
なかったという話をされ、上に立つ人間が求められる資質として、やはりいざ
というときに、どういう決断ができるかということを強調され、米国の売血シス
テムに危機感を覚え、献血や国内自給など血液事業に尽力した話などを
回想。厚労大臣に力を注ぐよう激励した。
厚労大臣や大臣政務官らは来賓挨拶終了後に退席し、休憩後に和解後から
救済医療の使命を担うエイズ治療・研究開発センター(ACC)、8ブロックに
設置されたブロック拠点病院で実際に携わるリーダーの方々から、大臣も
言及した被害者の原状回復医療推進の心づもり、長期療養や生活を視野に
入れた包括的な将来像へに提示についてのパネルディスカッションが行わ
れた。
木村 哲エイズ予防財団理事長(元ACCセンター長)の取りまとめ役のもと、
9人のパネリストから意見が述べられた。
被害者の医療、療養は未知の領域を常に歩んでいるところから、今後の長期療
養も国頼みと言い張る者がいる一方、HIV医療体制の今後の展開も含め救済
医療、個別救済に当たって綿密な将来計画を提示された方もいた。
途中、薬害エイズ裁判を和解案受け入れを政府として最終決断した厚生大臣を
務めた菅直人衆議院議員が登場。厚生省に埋もれていた薬害エイズ事件資料が
次々に見つかる様子や、当時の大臣の任についての経験から官僚は上司や前任
者をかばう習性を脱して真相をまず語る心得を訴えた。
被害者からの訴えは、今回は遺族の方が代表して20年の経過、遺族、被害者
は薬害再発防止のことを忘れたことがないと、化血研の隠ぺい事実への厳しい
言及、遺族相談会の意義や患者が亡くなっていく現実などを切々と訴えた。
HIV訴訟弁護団からは東京弁護団は清水洋二弁護団長、大阪からは提訴時弁
護士になった加藤高志弁護士が当時を回想しつつ、現在の状況は和解を守って
国は動いていない現実があることを非難した。守るべき事項を厳しく律して行
動するよう求めた。
10周年の時も演奏していただいた「篳篥」奏者の金井勇さんが雅楽「越天楽」
とシューベルト「アヴェマリア」を奏で、緊張した雰囲気になごみをが伝わった。
終わり近くに、薬害と違うが被害者の恒久対策の手本にもなっている森永ひ素
ミルク被害者を守る会理事長の桑田正彦さんからのエールをいただき、サリド
マイド福祉センター「いしずえ」の佐藤嗣道理事長からHIV感染被害の
反省を機に厚労省前に建立した薬害再発防止「誓いの碑」序幕式に嵐のよう
な雷雨があったのを、「被害者の涙」ではと思い出話を披露、そして化血研
やミドリ十字の件に触れ産官学の癒着、薬害はいまだに続いていると指摘し
た。全国薬害肝炎原告団代表山口美智子さんは体験を踏まえた薬害の消え
ない体制を力を込めて糾弾した。
閉会のあいさつ 東京HIV訴訟原告団代表、大阪HIV訴訟原告団代表から
310人を超える参加者で埋まった会場、外の桜のつぼみが少しずつ開き始
めた肌寒さが感じられた中で、和解20周年記念集会の出口付近は集会の燃
えた思いを胸にした参加者の熱気が充満していた。
出席してくださったみなさまに心から感謝申し上げます。