第14回はばたきメモリアルコンサート 理事長からご来場の皆様へのご挨拶
HOME ＞ はばたきインフォメーションスクエア > HIV・薬害エイズ情報 > 薬害エイズ
- 2018.11.16
理事長からご来場の皆様へのご挨拶
社会福祉法人はばたき福祉事業団
理事長 大平勝美
みなさま、こんばんは。ようこそ「はばたきメモリアルコンサート」にお越しいただき、ありがとうございます。ただいま紹介されました理事長の大平勝美です。こんなにたくさんの方々がご来場くださり、主催者を代表して心からお礼申し上げます。ひとえに、みなさまのご支援の賜物と心から感謝いたしております。
はばたきメモリアルコンサートは、14回目を迎えました。実は、メモリアルコンサート、1年半ほど時間をおいて、ちょうどこの王子ホールのリニューアルオープンに合わせ、私どものコンサートもリニューアルをいたしました。
皆様もお気づきかと思いますが、少数ですが被害者の有志が、会場受付周辺など、コンサート運営を、手伝ってくれています。35年前頃、血友病治療に使った、輸入血液凝固因子製剤によって発生した薬害エイズ。その薬害エイズ事件当時、小さな子供だった仲間が、今、何とか生き抜き、顔を出してみなさまをお迎えしています。
私と一緒に登壇しています武田飛呂城もその一人です。私を補佐し、これからのはばたき福祉事業団をスタッフと共に、けん引して参ります。
こうした世代の台頭を象徴して、メモリアルコンサートもリニューアルしました。一番若い被害者は35才です。演奏家の方たちも、共に新たな世代に託した形で、若い人たちに集まっていただき、これから一緒に新しいコンサートを育んでいくことを期待しました。
少し被害者の実像に触れましたが、ご来場のみなさまに改めてご報告させていただきます。現在、私たち薬害エイズ裁判を和解した1384名の内、残されている被害患者は672名です。本日までに712名の命が失われています。生き抜いている被害者の内、被害発生当時成長期にいた、現在40代から50代の被害者が、7割近くを占めています。一方、今回のコンサート開催までの、1年半ほどの間に9名の仲間が亡くなっています。医療は進んでおりますが、未だ進行する被害のため、生きているだけでいいと願う家族の思いが、奪われています。
本日も全国から裁判提訴当時には既に命を絶たれた仲間、満足な医療を受けられずに亡くなっていった仲間、そうした愛する子供や夫を奪われた遺族の方たちが東京に来て、メモリアルコンサートに参加しています。遺族の方たちは、明日厚生労働省へ赴き、私たち被害者の魂をこめて建立されている薬害再発防止の「誓いの碑」に手を併せに参ります。
そして、みなさまのお手元にお配りしてありますACC救済医療室という三つ折りのパンフレットを見ていただくと出ています、被害者の命の砦でもありますエイズ治療・研究開発センターの外来フロアに掲げられている、東京原告のイニシャル・原告ナンバーが刻印されたモニュメントを見学します。命と被害者の社会生活が、医療現場や社会からの差別で奪われた一人一人の被害者の命の象徴に触れて故郷に帰ります。
被害を受けた患者、その家族みんなに深く刻みつけられた被害の重さ。残された被害者の救済や、約束された救済に誤りがないようしっかり向き合い、また薬害再発防止がきちんと守られているのか、二度と私たちのような被害が発生しないよう恒久的に活動していくことが、はばたき福祉事業団設立の使命であります。
リニューアルした、はばたきメモリアルコンサートは、薬害エイズの原点を忘れず、被害者に寄り添い、優しさを感じるコンサート、多くの人にやさしく伝わるコンサートを目指します。そして、私たちが被ったこの被害を、音の鳴り響きで人の感性に伝わる音楽に託し、新たに若い羽ばたきを得て伝え続けてまいります。
今後もみなさまの熱いご支援、支え合うお声を頂けますよう、よろしくお願い申し上げます。
なお、リニューアルしたコンサートをつくるため、一緒に力を貸していただいた若手の演奏家、ピアニストの北田法子さん、テノール歌手の新海康仁さん、ソプラノ歌手の田崎尚美さん、そして2005年2月の第1回コンサートから、後援名義をいただきご支援し続けてくださっています厚生労働省・日本赤十字社・日本製薬工業協会のみなさまに改めて感謝申し上げます。
それではみなさま、みなさまも親しみを感じる名曲を、ピア二ストやオペラ歌手によって奏でていただきます。今宵のひと時、「命の尊さを響かせるはばたきメモリアルコンサートに耳を傾けてご堪能ください。最後には、みなさんとエーデルワイスの合唱があります。どうぞお楽しみください。
お問い合わせ