[バイエル薬品 血液凝固因子製剤の「コージネイトFS」の一部 10月3日より自主回収措置]
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- 2016.10. 5
『バイエル「コージネイトFSバイオセット」自主回収、力価低下の懸念』
原因は「製造工程」 血液事業部会で臨時審査
バイエル薬品は2016年10月3日、血友病A治療薬「コージネイトFSバイオセット
注250」「同500」「同1000」「同2000」(一般名=オクトコグ アルファ(遺伝子組換え))の自主回
収を始めた。一部のロットで有効期間内でも力価が低下する傾向が確認されたため。これを踏
まえ、厚生労働省も10月3日に薬事・食品衛生審議会薬事分科会血液事業部会運営委員会を臨
時開催し、バイエル薬品から情報収集したうえで、コージネイトFSバイオセットの自主回収に
ついて審議した。
自主回収の対象となるのは、2014年7月以降に出荷したコージネイトFSの一部で、31ロット
が対象。回収のクラス分類は「クラスⅡ」(製品使用で一時的、もしくは医学的に治癒可能な
健康被害の原因となる可能性がある状況、または製品使用で重篤な健康被害の恐れはまず考え
られない状況)に該当する。
遺伝子組替え型血液凝固第Ⅷ因子製剤のコージネイトは、バイエルがグローバルで製造し、
日本国内に輸入している。有効期間は2年6ヵ月。通常でも力価は時間の経過とともに低下し、
規格では80%以上の力価を保つことが定められている。
今回の力価低下問題は、バイエル本社(独)の調査で判明。すでに米国などでは自主回収を
実施している(※NFHの「Medical Advisory」でVoluntary Recall Issuedとして本年?25日に
最初2ロット回収、続いて8月15日付でさらに多いロットの自主回収が掲載された)。
日本法人バイエル薬品の調査によると、国内輸入品の中に力価が80%を下回っているロットは
なかった。ただ、力価が低下傾向にあるロットは含まれていたため、今後、有効期間内に80%を
割り込む恐れが否定できないことから、予防的措置として、対象となる31ロットを自主回収
することにした。
●問題点は解消済み、製品交換へ
バイエルは今回の問題点について「米国工場での製造工程の問題」としている。力価が低下す
る原因はすでに特定済みだという。問題点を解消し、力価の低下傾向が見られないよう改善した
新たなロットをすでに入荷しており、患者や医療機関、卸の手元にある回収対象製品と交換して
いく。安定供給面では支障がないという。
患者の不安を払拭するたの情報提供は、▽バイエル薬品から医療機関に情報提供し、患者に説
明▽患者会の協力を得て患者間ネットワークで周知▽バイエル薬品の自社ホームページに掲載▽
医学界を通じて血友病専門医のネットワークで情報共有 という4つのパターンで実施する。
(平成28年10月4日付「日刊薬業」より)
※NHF(米国血友病協会)ホームページより
この度の措置は、薬害エイズ事件時、コージネイト欠品問題での対応等々を考えると、同一の製剤
を使用していて欧米に比べ情報等対応の遅さが不公平に思えます。また、行政も企業任せで、安全性
や信頼性についてもっと患者の安心が確保できる、独自の調査や情報提供が求められる。
自主回収対象のロット(対象ロット該当の方は主治医等にご相談されることをお奨めします)