◇はばたき血友病情報(社会と生活) 「フィンランド血友病協会を紹介します4」
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- 2011.10. 3
前4回はフィンランド血友病協会の説明でしたが、これからはフリーディスカッションを報告します。
多くの患者・家族が気になっている『医療費』ですが、フィンランドでは公的負担となっていて、血液製剤は3か月に1度処方され、薬局で受け取ります。
血液製剤は薬害HIV被害(ちなみにフィンランドでは2名の方が血液製剤によりHIV感染しました)以降はこどもに対して血漿由来のものは使用しておらず、Baxter社,Bayer社,Novo Nordisk社などの製剤を使用しています。
予防投与が主流で、早いこどもは6歳くらいから自己注射の練習を始めます。*赤外線で血管を探す機器を試験的にBaxter社から提供されていますが、値段が1台3,000ユーロ(約30万円)と高額なので普及にはまだまだと思うとのことでした。←どのようなものなのでしょう?興味津々です。
インヒビター患者は20名で、治療により半数はインヒビターが消失したとのことですが、やはり大きな問題には変わりません。
次に、研究班で取り上げている課題でもある学校生活や就労についてです。
担任、保健、体育の先生に具体的に説明をしますが、慣れるまでは大変というコメントでした。学校で何かあった場合は母親が学校に駆けつけ血液製剤を注射する対応は日本と変わらないようです。
現在は体育の授業も各個人の判断で参加しているようですが、少し前までは体育や木工(技術?)は免除だったそうです。また、フィンランドは徴兵制度がありますが、血友病患者は免除されています(患者のみなさんは喜んでいるようです)
就労についてですが、若い患者さんは「就職で問題はなかったけれど、仕事中の自己管理での問題はある」と言っていました。一方、会長は「息子は警察学校に3度試験を受けたが落ちた。多分、血友病のことがあるからだと思う」と言いました。職種によっては就職が難しいということはあるようです。
フィンランドは医療費は公的負担で、予防投与やリハビリテーションが進みQOLもいいようです。しかし、『高齢化』は新たな課題です。今後は血友病の治療だけでなく糖尿病、高血圧、がんなど高齢に伴う病気予防をするライフスタイルを考えていくことが重要だと話し合いました。
血友病の絵本を交換しました。お互い言葉はわからなくても内容はなんとなく理解できます。来年のWFHの国際会議で再会できることを祈ります。