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◇はばたき血友病情報(治療開発)「第Ⅷ因子製剤、フォンビレブランド因子の役割により有効性」

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  • 2012.5.18

タイトル:[ 現在の血友病医療における生理的VWF/FVIII複合体濃度の役割

                                               :次世代治療のためのガイドライン ]

   ( The role of natural VWF/FVIII complex concentrates in contemporary
     haemophilia care: a guideline for the next decade. )

出典:「 Haemophilia. 2012 May;18 Suppl 2:2-7. doi: 10.1111/j.1365-2516.
                                                        2012.02794.x. 」 より

著者: Mannucci PM.

要旨: 数多くの未解決の問題を伴いながらも、現在の血友病の治療は、優れた

   有効性と安全性を提供している。

    第VIII因子(FVIII)投与後のインヒビター出現は、血友病の合併症の大

   きな課題であり、慢性疾患の高い経済的負担となっている。

    さらに、血友病の予防治療は、度重なる第VIII因子輸注が必要である。

   週に2~3回することが多いため、患者の日常生活の大きい負担となって

   いる。この状態を管理する上で改良する余地が多くあるので、本論文の

   主要目的は、様々な問題に解決するために今話題となっている治療や方

   法などを示している。補充療法を利用しやすい国にとって、従来、未治

   療の重症血友病患者では、血漿由来製剤か組み換え型製剤によりインヒ

   ビター出現の危険性と関連性が異なるかどうか分かることは重要である。

   現在進行中の国際SIPPET研究は、この臨床におけるジレンマへの答えを

   提示してくれるであろう。 

    半減期が長い濃縮製剤の調査方法では、血友病患者の予防の負担を軽

   減する新たな希望となるであろう。早期にでている結果では、新規製剤

   に関連する多くの利点を示唆している。


※コメント

  現在の血友病治療では、製剤投与による一番のリスクはインヒビター出現

 です。血漿由来製剤と組み換え型製剤のどちらがインヒビター出現の危険性

 があるかという問題は、論文により様々な報告があり明確な答えはでていま

 せん。

  この未解決な問題に対する大規模かつ国際的な試験は行われていません。

 本論文では、未治療(もしくは最小限の血漿由来凝固製剤投与をした)重症

 血友病A患者(toddler 2~4歳の幼児)を対象とし、血漿由来の製剤と組み

 変え型の製剤でインヒビター出現の差があるかどうか77施設、19カ国、様々

 な人種で網羅的な研究をおこなっている現在進行中のプロジェクトSIPPET

 ( Survey Of Inhibitors in Plasma-Product Exposed to Toddlers)のリー

 ダーであるMannucci PM氏により書かれた総説です。

  SIPPET については以下のホームページに紹介されています。

  http://www.sippet.org/Source/StudyRationale.aspx

  本論文の要旨では何もふれていませんが、プロジェクトは現在のところ

 進行中のようです。他にもこの要旨に記載されていることは、近年、生理的

 条件下で血液凝固制御において第VIII因子とVWF(フォン・ウイルブレンド因

 子)との相互作用が重要であることが知られています。

  今までの研究成果で得られてきた第VIII因子とVWFとの相互作用の有効性を

 臨床で実際に応用することで、現在の治療よりさらに効果が得られることが

 期待できます。

  この他にも遺伝子組み換えにより改変された凝固因子を用いて、血液中で

 の半減期が少なくなることにより製剤の投与による効果の持続性向上、投与

 量減量および投与頻度の減少により患者負担が少なくなることなどが期待さ

 れていると書いてあります。

 ( E.M )

 インヒビター治療の免疫寛容療法でも、フォンビレブランド因子が含まれる

凝固因子製剤はより有効と言われています。

 効果の持続性が長い製剤など、新たな製剤開発は血友病治療の改善が

大きくなることが予想されています。

 ( K.O )

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