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◇はばたき血友病情報「血友病患者の慢性的な痛みの軽減に、鍼治療の利用の試み 米国の情報」

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  • 2012.4.27

タイトル:[ 血友病患者の慢性的な痛みを管理するうえでの鍼治療利用 ]
 ( Use of acupuncture in the management of chronic haemophilia pain. )

出典:「Haemophilia. 2012 Mar 8. doi: 10.1111/j.1365-2516.2012.02766.x.」
                         [Epub ahead of print]

著者: Lambing A, Kohn-Converse B, Hanagavadi S, Varma V

要旨: 慢性的な関節炎症状の結果、血友病患者は慢性的な痛みを感じるように

     なる。

       特に一次予防から便益を得ることができなかった年長の血友病患者は、

     治療の遅れによる繰り返しの出血の結果、多発性の関節の持続的な痛み

     の危険性がある。

       米国痛み研究,Ref11視覚的アナログスケールVAS(Visual analogue scale)

     を用いて、4.22/10(SD+/-=2.05)として、日常の持続的な痛みを評価した。

      
       研究によると、患者は痛みを軽減するために新たな治療を常に求めている。

       本研究では、以下のことを特定した。

       I)反復性の関節血症の結果、持続的な関節の痛みがある血友病患者の鍼
         治療の効果

    II)鍼治療の結果、出血の危険性が増加している報告はない。エンドポイ
         ントは、患者が10ポイントの視覚的アナログスケールや出血を経て、
         痛みが減ったことを報告している。

      9名の患者が本研究に参加した。患者の中には、(付け加え:血液凝固因子
     が*本要旨では血友病AかBかについて記載はない。)15%になるまで補充
     療法を投与をした患者もいれば、全14回の鍼治療で鍼治療前に凝固因子補
     充を行わなかった患者もいた。

       施術した患者では、出血や青あざになるものはいなかった。9名の患者の
     うち6名が少なくとも50%以上のペイン・スコアが改善した。
      9名のうち7名がQOL SF-36質問応答表で生活の質(QOL)が改善した。これは
     患者の痛みの感覚が減ったことを示唆している。

       更なる証左には大規模な無作為試験が必要であるが、血友病患者では、

     鍼治療が痛み管理を治療するために安全で新たな治療である可能性を本論文

     は示している。

用語: 視覚的アナログスケールVAS(Visual analogue scale)痛みの測定法と
      して患者に痛みの程度を(想像できる)最大の痛みを10,痛みなしを0
      として指でさしてもらって記録する。

問題点 個々の患者によって痛みの感じ方が異なるので比較は困難であるが,
      一患者の治療前後の痛みの程度は良く反映する。

エンドポイント(endpoint)    治療行為の意義を評価する為の評価項目のこと。


※コメント
 本論文は、関節疾患などにより慢性的な痛みを感じている年長の血友病患者を

対象とし、鍼治療により痛みが軽減するかどうかを調べたものです。

 出血を止めることは凝固因子製剤で可能ですが、痛みというのは本人しか分か

らず、また客観的なレベルを測定するのも難しいものがあります。

 痛み止めなどを日常的に服用することも胃などがあれそうですし、特に多数の

薬を服用している患者は、他の薬剤との相互作用も心配しなくてはなりません。

 本論文を見る限りでは、出血に関しては、リスクとベネフイットを考えると

鍼治療をおこなうことのほうが上回っているように見受けられます。

 従いまして、日本の病院では、東洋医学の診療科を設置しているところは、数

少ないと思いますが、血友病の専門医や東洋医学科がある病院ならば、鍼治療で

血友病関節症による慢性的な痛みを軽減するひとつの選択肢として有効かもしれ

ません。

                                     (E.M)
 

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