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◇はばたき血友病情報(社会と生活)[ 出生前診断および着床前遺伝子診断における診断方法、国内外の考え方などについての情報 ]

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  • 2011.12. 1

タイトル:[ 出生前診断および着床前遺伝子診断:

                          新規技術と世界の様々な地域でのPGDの評価状況 ]

       (Prenatal diagnosis and preimplantation genetic diagnosis: novel
  technologies and state of the art of PGD in different regions of the world.)

著者:Peyvandi F, Garagiola I, Mortarino M.

出典:『 Haemophilia. 2011 Jul;17 Suppl 1:14-7. doi:
                                           10.1111/j.1365-2516.2011.02559.x. ] より


要旨:出生前診断(PND)は、出来る限り妊娠初期で正確かつ迅速な結果を提示すること
    を目的としている。
      従来のPNDは、妊娠第11~14週での絨毛採取あるいは15週以降の羊水穿刺によって、
    胎児由来の細胞を採取することを伴う。これらは侵襲的な術式であり、わずかだが
    有意な0.5~1%の流産の割合がある。
      遺伝性疾患を自分たちの子供に伝える危険性がある夫婦の従来のPNDに対する別の
    方法は、着床前遺伝子診断(PGD)である。PGDは、新たに登場したまさに早期の出生
    診断の手法である。
      この技術は補助的生殖技術と分子遺伝学および細胞遺伝学を組み合わせることで、
    着床前の胚の異常の特定を可能にする。

      ヒト着床前診断における遺伝子疾患の診断は、嚢胞性線維症、血友病および染色体
    異常などの異数性、単一遺伝子およびX連鎖疾患を検査するために1980年代後半に開発
    された。
      PGD関連の法律的や倫理的問題はあらゆる段階で、国内および国際的に議論されてい
    る。PGDに対する態度は、科学的、文化的および宗教的な違いにより世界の異なる地域
    だけでなく、ヨーロッパ内でもかなり多様である。
      PGDは世界中、様々な適応で広く施行されており、子供に望まない遺伝を伝えると予
    測された危険性を大幅に減らす。
      それにもかかわらず、いくつかの新たな非医学的な兆候に対する広がりが、とりわけ、
    その潜在的な優生思想で倫理的な懸念が生じている。

コメント:
   
    生まれてくる子供に障害や病気があるかどうか、出産をする前に検査し診断することを
  「出生前診断」と呼んでいます。出生前診断には、いくつかの方法があります。

 

 

1.羊水検査

妊婦のおなかに針を突き刺し、羊水を採り、その中にある胎児の細胞を調べる検査。
胎児を傷つけ、流産を引き起こす可能性があります。

2.絨毛(じゅうもう)検査

妊婦の胎盤の絨毛、胎児の細胞を採取し、調べます。羊水検査と同じように染色体や遺伝子の異常、代謝病の診断ができます。この方法も流産を引き起こす可能性があります。
 

3.超音波診断

妊婦のおなかを超音波で調べます。胎児に外見的な奇形を調べます。

4.母体血清マーカーテスト

「母体血清マーカーテスト」のひとつ「トリプルマーカーテスト」で、母体の血清に含まれる3種類のタンパク質の濃度を調べ、うまれてくる子供のダウン症や二分脊椎症の可能性が確率で出てきます。確定するには、さらに羊水検査を受けます。
 

5.着床前診断

 体外で卵子を受精させ、 卵割を始めた受精卵を子宮にもどす前に、その細胞を一つ取り出し、染色体やDNAを検査し、障害や
病気を調べます。


*日本での着床前診断は日本産科婦人学会が認めているのは、重い遺伝病(血友病は該当しない)の可能性がある場合、事前に学会で審査、両親の同意など厳しい条件があります。

*日本での着床前診断は日本産科婦人学会が認めているのは、重い遺伝病(血友病は該当し

ない)の可能性がある場合、事前に学会で審査、両親の同意など厳しい条件があります。

  出生前診断について、海外の事例では、フランスは生命倫理法で厳しく規制しています。

特別に重い病気を検査することに限定し、実施には保健省の認可が要ります。

  障害者の排除につながらないよう別の法律でも歯止めをかけています。

  米英は法的規則をせず、インフォームド・コンセント(十分な説明に基づく同意)と患者自身

の意志決定に任せています。

  出生前診断検査技術は日進月歩で進んでいますが、命の選別をすることには変わりはありませ

ん。従って、この倫理的かつ社会的問題を十分に議論する必要があります。特に宗教的な倫理観

が薄いと思われる日本人にとっては、一定の歯止めをかける場合には、何を根拠にして物事を進

めるのかなど難しい問題があると思います。

 
  医療の進歩と共に進んだ遺伝子診断をうけるさいには患者および医療者、双方にとっても高い

倫理観が求められている時代になっていると感じます。

  

 

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