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◇はばたき血友病情報(研究開発) 「 血友病インヒビター製剤、新たな開発の試みの情報 」

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  • 2011.11.16

[ 血友病患者のインヒビター治療製剤、新たな開発の試み Nat Biotechnol 誌から ]

タイトル:チモーゲン様第Xa因子変異体は血友病患者の凝固欠損を補正する。
          ( A zymogen-like factor Xa variant corrects the coagulation
                                                  defect in hemophilia. )

  著者:Ivanciu L, Toso R, Margaritis P, Pavani G, Kim H, Schlachterman A,
        Liu JH, Clerin V, Pittman DD, Rose-Miranda R, Shields KM, Erbe DV,
        Tobin JF, Arruda VR, Camire RM.

  出典名:「 Nat Biotechnol. 2011 Oct 23. doi: 10.1038/nbt.1995. [Epub
                                                         ahead of print] 」

 

 要旨:臨床の場において、過度の出血を制御するために効果的な治療法が求めら
   れている。
    チモーゲンから活性化プロテアーゼへ移行できない部分的に不活性化した
   凝固第Xa因子(FXa(I16L)の変異体をインビボで用いることによって、止血を
   改善する。
    血友病モデルマウスを用いて、第Xa因子(FXa(I16L)が野生型FXaより半減期
   が長く、過度の凝固活性を誘発しないことを示している。
    凝固メカニズムが活性化し、補因子である第Va因子を産生すると、
   FXa(I16L)はプロテアーゼの状態になり、血管損傷している血友病モデルマウ
   スの止血を回復させる。
    さらに、ヒトや類縁の動物では、FXa(I16L)は、血友病インヒビター患者の
   出血を治療するために用いているFVIIaより有効である。
    FXa(I16L)は血液凝固能を強化し、出血治療の迅速な止血剤として作用する。


 コメント

chart_2011.11.16.jpg

 

  インヒビターが発生すると、参照図のように血友病の場合第Ⅷ因子
  や第Ⅸ因子製剤  を投与しても、インヒビターに妨害され、製剤中の
  第Ⅷ因子や第Ⅸ因子は中和化され、製剤の効果が減弱したり、効果
  が消失することもあります。

   インヒビターの程度が強い場合は、凝固カスケードの外因系や下流
  で働く、活性化第II因子、第VII因子、第X因子を用いてバイパスし
  て止血をおこなうようにします。

   現在、日本国内ではこのバイパス療法に用いる製剤は
      (1)血漿由来活性型プロトロンビン製剤と
      (2)遺伝子組み換え活性化第VII因子(rFVIIa製剤)の2種類の製
      剤が使われています。

    しかしながら、これらの治療に対する費用が莫大にかかるわりに、
  必ずしも効果があるわけではありません。
    本論文では、血友病マウスにX因子の活性化型であるXa(a活性化型)の遺伝子改変型
  FXa(I16L)を輸注したところ、血液凝固能の有効性がみられ、失血をへらしました。
    また、この遺伝子改変型は過度の出血などを誘発しないように調節し、長期間の活
  性が保持できるようになりました。
    この新たな遺伝子改変体FXa(I16L)は、血液循環中で長く活性を持続することができ
  血友病インヒビター治療の新しいバイパス治療につながる可能性があります。
    現在、大型の動物を用いた実験などで臨床状況に適合するかどうか研究中です。( E.M )

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