◇はばたき血友病情報[ 2015-2016.3 血友病治療凝固因子製剤の情報 ]
HOME > はばたきインフォメーションスクエア > 血友病情報 > 医療情報
- 2016.4. 6
「2015年-2016年3月 血友病治療凝固因子製剤の状況」
☆2015年3月19日 (木)
バイオジェン・アイデック・ジャパンは、血友病A治療薬「イロクテイト」
(一般名:エフラロクトコグ・アルファ)を新発売した。
ヒト免疫グロブリンG1のFc領域とBドメイン除去型ヒト遺伝子組み換え血液
凝固第VIII因子との融合技術を利用して開発された長時間作用の遺伝子組み
換え血友病A治療薬。(250,500,750,1000,1500.2000,3000単位)
注射回数を減らした定期的投与により、血漿中の消失半減期を延長させた。
今回薬価収載されたエフラロクトコグ アルファは、長時間作用型のヒト遺伝
子組換え血液凝固第VIII因子Fc領域融合蛋白質製剤である。Bドメイン除去型
ヒト遺伝子組換え血液凝固第VIII因子と、ヒト免疫グロブリンのサブクラス1
(IgG1)のFc領域が共有結合した構造を持つ。
IgG1のFc領域の結合により、新生児型Fc受容体との作用を介してリソソーム
分解を受けずに循環血液中に再循環されることが可能になった。その結果、
本薬は従来薬よりも血漿中消失半減期が延長(19.0時間)されており、3~5日
間隔の定期的な投与や、患者の状態によっては週1回の投与も可能となっている。
日本人を含む、第VIII因子製剤で治療歴のある12歳以上の重症血友病A患者を対
象とした国際共同第3相臨床試験で、本薬の有効性と安全性が確認されている。
海外では、米国(2014年6月)、オーストラリア(2014年6月)、カナダ(2014
年8月)で承認されている。
臨床試験から副作用が5.5%に認められている。主な副作用は倦怠感・関節痛
(各1.2%)などで、重大な副作用はショック、アナフィラキシーが報告されてい
る。
(血友病Aに週1回投与の凝固因子補充薬が登場 新薬】エフラロクトコグ
アルファ(イロクテイト静注)北村 正樹=東京慈恵会医科大学附属病院薬剤部
web情報から 2015/2/27)
☆2016年年2月26日、薬事・食品衛生審議会医薬品第二部会は製造販売の可否に
ついて審議品目に上がっていたバクスター「アディノベイト」、バイエル薬品
「コバールトリイ」の血液凝固第Ⅷ因子製剤(遺伝子組み換え型)を了承。
(250,500,1000,2000,3000単位)
(「日刊薬事」 平成28年2月29日付 より)
共に、血液凝固第Ⅷ因子欠乏患者における出血傾向を抑制を効能・効果とす
る新有効成分含有医薬品。「アディノベイト」は同社の「アドベイト」の後継品、
「コバールトリイ」は同社の「コージネイト」の後継品。(250,500,1000,2000単位)
・「アディノベイト」は27年11月19日、米国承認を取得。「アドベイト」をベース
に、独自開発のペグ化技術によって血中半減期を延長させた。これにより、投与
頻度を週2回くらいまで減らせることが期待できるとされている。
(「医薬経済社 RIX fax」27年11月20日付より)
バクスアルタは2016年4月4日、バクスターが3月28日に国内で承認した血友病A
治療薬「アディノベイト」の承認を承継したと発表。(2016年4月5日付「日刊薬
業」より
・「コバールトリイ」は28年2月23日に全年齢層に対する血友病A治療薬として欧州
委員会から承認を取得。臨床試験では週2~3回の定期補充療法で出血抑制効果
が示される。
同剤は、血液凝固第Ⅷ因子の発言を向上させるため、「コージネイトFS」のワー
キングセルバンクを改良して樹立した新たなマスターセルを利用して産生する遺
伝子組換え全長型血液凝固第Ⅷ因子製剤。
出血時の止血管理、定期補充療法に用いる。既承認のコージネイトFSでは生産培
養工程において、アルブミン及びグロブリンを含有するヒト血漿タンパク質溶液
を使うが、同剤はこの溶液を使わないで生産できるようにしたもの。これにより
生産量性を高める。
具体的には同剤は、血液凝固第8因子(FVIII)の発現を向上させるため、コー
ジネイトFSのワーキングセルバンクを改良(ヒト熱ショックタンパク質70遺伝子
を導入してアポトーシスを抑制し、FVIIIの発現を向上)して樹立した新たなマ
スターセルバンクを利用して産生する遺伝子組換え全長型FVIII製剤。海外では
未承認。(「mobile MIX online」より)
☆その他
・2015年12月21日、CSLベーリングは血友病B治療用製剤の製造販売承認申請を
行ったと発表。同剤は半減期延長型遺伝子組換え血液凝固第Ⅸ因子アルブミン
融合製剤(rIX-FP)で、、遺伝子組換えである第Ⅸ因子とアルブミンを遺伝子
レベルで融合する技術を用いて、第Ⅸ因子の半減期を延長した。
現在、FDAやEMA(欧州医薬品庁)でも承認審査が行われている。
(2015年12月22日付 「日刊薬業」より)
なお、同社は開発中の遺伝子組換え血液凝固第Ⅷ因子製剤(rⅧ-SC)を早けれ
ば今年後半にも承認申請する。(2016年2月10日付「日刊薬業」から)