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◇はばたき血友病情報「2014年後半以降の血友病治療薬等、関連情報から」

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  • 2015.3.13
 
 
  [2014年後半から2015年2月までの、血友病治療薬、関連情報から]
 
  
 血友病治療関連情報
 
  ◇バイオジェン・アイデック・ジャパン、2014年7月4日、血友病B治療
 
   薬「オルプロリスク」の製造販売承認を取得。効能・効果は血液凝固第Ⅸ因
 
   子欠乏症患者における出血傾向の抑制。
 
   同社の血液凝固第Ⅸ因子製剤は新しいFc融合技術を用いて開発された遺伝
 
   子組み換え型作用持続型の血液凝固因子製剤で、凝固因子の血中半減期を延
 
   長させることにより投与回数を減らすことができるという。
 
   
   同社の発表によると、Fc融合技術とはヒトIgG(免疫グロブリンG)の持つ
 
   細胞のFc領域を、遺伝子組み換え型血液凝固第Ⅷ因子、あるいは血液凝固第Ⅸ
 
   因子に直接融合させる技術を言い、Fc領域を融合させる事により、タンパク質
 
   は一般的に長い血中半減期を示すことから開発された技術。
 
 
  ◇化血研、2014年7月4日、血友病インヒビター止血治療用製剤「ジェブタナ
 
   点滴静注60mg」の製造販売承認を取得。国産では初の血友病インヒビター治療
 
   製剤。(2014年7月7日付 「日刊薬業」から)
 
 
 
  ◇「BPRO INFORMATION FILE」(2014年2月 No.145「血液製
 
   剤調査機構だより」よ
 

   インヒビターに関連して

 
 
   ◎「ヒト血漿由来FⅧ/VWF複合体は単離したFⅧとVWFタンパク質の組み合
 
    わせよりもFⅧインヒビターに対する感受性が低い」
 
        ヒト血漿由来(pd)FⅧ/VWF複合体は単離したFⅧ(遺伝子組み換えFⅧ、B-ドメ
 
    イン決失型、及びpdFⅧ)使用。血漿とpdFⅧ/VWFのインヒビター力価は、VWF
 
    と前もってインキュベートした後でも、血漿とpdFⅧ/VWFより優位に高かった
 
    (1.4-1.9倍)。FⅧインヒビター活性に対するVWFの防御効果は、単離されたタ
 
    ンパク質から形成される複合体よりも、インタクトな血漿とpdFⅧ/VWF複合体
 
    の方が高い。
 
    (MI Bravo, et al. Haemophilia (2014) ,20, 905-911)
 
 
   ◎「2005-2010年生まれの重症血友病Aの未治療患者(PUPs)におけるイ
 
    ンヒビター産生(ID)頻度と危険因子」
 
     重症血友病A(FⅧ<0.01 IU/mL)のPUPsにおけるIDを評価。
 
     全カナダの血友病治療センターが、2005年9月~2010年8月に出生の患者とそ
 
     の最長7年に及ぶ追跡調査に関する質問に回答。調査対象は製剤への曝露が
 
     20日(ED)以上またはインヒビター産生の患者。総数99人の内、34人(34%)
 
     がインヒビターを産生(24/34は高力価)。リスクの高い突然変異のある患者
 
     25/63(40%)がインヒビターを産生。IDは原住民でもっとも頻度が高かった(86
 
     %)。FⅧに最初に曝露されたときの投与量強度(IU/kg/日×ED日数)がIDに
 
     相関。FⅧ濃縮製剤への最初の曝露の適応としての関節出血や脳内出血はID
 
     に対する粗ORは、それぞれ7.63(95%CI:2.14-27.17)及び5.08(95%CI:1.11-
 
     23.31)。FⅧ濃縮製剤毎のIDは、Advate®18/15(36%)、Kogenate FS®または
 
     HeliXate FS®15/36(42%)、Wilate® 0/11、及びXyntha® 1/2であった。重症
 
     血友病A PUPsにおけるIDの累積頻度は34%であり、民族、最初のED時の出血
 
     の型、FⅧの製剤種、及び最初の曝露時の投与強度に応じて変化した。
 
     (C Vezina, et al,, Haemophilia (2014) ,20, 771-776)
 
 
   ◎「2000-2011年生まれの英国の未治療重症血友病A小児患者における
 
    第Ⅷ因子(F Ⅷ)製剤とF Ⅷインヒビター産生率」  
 
     2000年1月1日~2011年12月31日に生まれた407人の未治療重症血友病A患者の
 
    インヒビター産生に対する遺伝子組み換えFⅧ(rFⅧ)の影響を検討。
 
     この内88人(22%)はRODIN研究に含まれる。情報は英国血友病データベースか
 
    ら抽出。曝露日数(ED)不明の患者もいたので、初回治療からの時間をrFⅧ曝
 
    露の代わりとした。初回曝露から中央値(四分位範囲)7.8(3.3-13.5)月と16
 
    (9-30)ED後に118人(29%)がインヒビターを産生、60人が高力価、58人が定力価
 
    であった。Kogenate Bayer/Helixate NexGenで治療した患者の内、45人(35.2%、
 
    95%信頼区間[CI27.4-43.8]がインヒビターを産生、Advateで治療した患者は42/
 
    172(24.4%、95%CI 18.6%-31.4%)で産生(P=0.04)。Advateに対するKogenate
 
    Bayer/Helixate NexGenの補正ハザード比(HR) (95%CI)は高力価インヒビター
 
    患者で2.14(1.12-4.10)(P=0.02)、全インヒビター患者で1.75(1.11-2.76)(
 
    P=0.02)。英国RODIN研究の患者を除くと、高力価インヒビター患者の補正HR
 
    (95%CI)は2.00(0.93-4.34)(P=0.08)。Refacto(※)が全体で最もインヒビター
 
    発生率は高かったが、力価はAdvateより高くなかった
 
     これらの結果は総体免疫原性お議論やrFⅧ製剤使用の助けになる。
 
 
    (PW Collins, et,, Blood, 2014; 124(23) : 3389-3397)
 
    ※Refacto® Antihemophilic Factor,Recombinant-Pfizer
 
 
   ◎「未治療重症血友病A少年(Pups)における遺伝子組み換え第Ⅷ因子製剤(rFⅧ)
 
    とインヒビター産生」
 
     2013年、インヒビター産生の決定因子に関する研究グループ(RODIN)は、Pups
 
    の重症血友病A(HA)で第二世代の全長rFⅧ因子製剤(Product D : Kogenate FS
 
    Bayer/Helixate NexGen)によるインヒビター産生リスクが予想外に高いと報告。
 
    RODIN研究に参加した50人の患者を除き、最初にrFⅧ製剤で治療した303人の重
 
    症HA少年について解析。臨床的に有意なインヒビターが114人の少年(37.6%)に
 
    検出された。インヒビター発生率はProduct D)が、最も広く使用されているrF Ⅷ製剤
 
    に比べより高かった(補正ハザード比[aHR]、1.55 ;95%信頼区間[CI]、0.97-2.49)。
 
    RODINと著者等の結果に不均一性は認められなかった。全インヒビターに対する
 
    統合aHRは1.58(95%CI、1.17-2.14)、高力価インヒビターのそれは1.70(95%CI、
 
    1.15-2.52)であった。
 
     即ち、重症HAのPUPsでは、他のrFⅧよりもProduct D の免疫原生が高かった。
 
 
     (T Calvez, et all,, Blood, 2014 ; 124 (23) :3398-3408
 
 
  ◇バイオジェン・アイデック・ジャパン、2014年12月26日、血友病A治療
 
   薬「イロクテイト」の国内での製造販売承認を取得。
 
    適応は血液凝固第Ⅷ因子欠乏患者の出血傾向の抑制。同剤は循環血漿中に長く
 
   とどまる長時間作用の遺伝子組み換え血液凝固第Ⅷ因子製剤。
 
   2014年に米国、オーストラリア、カナダで承認され、欧州を含む複数の国で承認
 
   審査中という。同社の血友病治療薬では、血友病B治療薬「オルプロリスク」に
 
   続く2例目。  (2015年1月5日付 「日刊薬業」から)
 
   ちなみに、この製剤はバイオジェン社ヒト免疫グロブリンGI(IgG1)のFc領域と
 
   Bドメイン除去型ヒト遺伝子組み換え血液凝固第Ⅷ因子とのFc融合技術を利用
 
   して開発製造されている。
 
     ◇2015年3月9日、バイオジェン・アイデック・ジャパンは遺伝子組み換え長
 
   時間作用型血友病A治療薬「イロクテイト」の販売開始。
 
 
   ◇2014年9月11日、健保連2013年度の高額医療交付金交付事業に申請さ
 
   れた医療費のうち、高額レセプト上位の概要についてまとめている。
 
   血友病が1-3位、5-6位、8-10位と10位までのうち、8件を占めてい
 
   る。最上位は月額医療費62,212,360円、10位までが25,000,000円以上。
 
   血友病Aが5件、血友病Bが3件。
 
 
   ちなみに、1ヵ月の医療費が1,000万円以上のものは、前年度比82件増の
 
   336件で昨年の過去最高を上回っている。全336件のうち、先天性疾患が125
 
   件(全体の37%)、循環器系疾患95件(同28%)、血友病53件(同16%)、悪性
 
   腫瘍23件(同7%)。
 
   2,000万円以上のものは、36件(前年度比13件増 57%増)で過去最高。
 
 
   血友病については2012年度は61件で8件減になる。10位以上が7件で1件
 
   減。
 
   ※治療上必要な医療費だが、新薬の登場で薬価は高くなる傾向は否めない。社会的
 
   環境から勘案すると、血液凝固因子製剤補充療法が主たる治療法として続くとなる
 
   と、国産の製剤使用や国内での製剤の開発による安定した供給と薬価減が望まれる。
 
   
 

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