[ 献血の国民運動活発化、善意の献血血液の国内自給と有効活用は? ]
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- 2014.9.29
『国民運動として活発化した献血、国は献血者の善意を生かして、
患者を救命する製剤の供給は急務』
日本の献血推進と献血血液の有効使用と国内自給の現況から
ここ数年、献血推進の活動は盛んになってきている。
日本の献血制度は国の責務のもと国民が参加する健康と命を守る運動として
日本の大切な国民運動に発展して、日本赤十字社、各行政機関、地方公共団
体、関係機関がそれぞれの責務のもとに積極的に取り組まれている。
では、その成果はどうなっているのだろうか。
献血者動向を見ていくと当然少子高齢化傾向から近い将来も含め、新たな献
血者層を増やしていかざるを得ない。特に、10代―20代の若年層への働
きかけは将来の供給リスクを視野に活発になされてきた。その結果は10代
の献血者が増加傾向になってきている。高校生献血の取組が薄れていた頃や
積極的なアプローチをしていなかった時点に比べれば成果と言える。文科省
の献血推進の取組が始まったことも大きな要因でもある。一方、今後支えと
して大切な20代-30代はどうなのかというと残念なことに減少している。
特に20代は50代と変わらない。
本年7月10日に、名古屋市の愛知芸術文化センターで「第50回献血運動
推進全国大会」が開催された。当事業団も出席させていただいた。
大会で、厚生労働大臣、日本赤十字社長から献血の重要さが訴えられたが、
式典に出席された皇太子さまは献血運動の意義について思いを述べられ、
「特に未来を担う10代、20代といった若い方の理解と積極的な協力が求
められています」とあいさつされた。
毎年開かれるこの式典で、国家事業として大切な活動と認識を共有している
はずだが、関係各機関の動きを見ていると決して同じベクトル方向を推進し
ているとは思えない。特に、薬害エイズ事件の教訓やこれまでの血液事業の
教訓から施行された新血液法を順守していない医療機関・企業等の関係者が
多数存在することが極めて無念である。
日本の美徳である献血が市場原理のみに曝され、医療機関や関係者が献血由
来製剤を使用しない、患者に勧めないなどがまかり通っている。医療者への啓
発でなく、医療関係の学生や教育関係者、そして患者へ伝える役割をきちん
と果たしてほしい。
一方、産婦人科学会等の出産時緊急救命のためのフィブリノーゲン製剤の供
給が強く要望されているのにもかかわらず、大量出血時に治療製剤の供給が
間に合わないために命を落としている妊婦が少なくないことは、日本の献血
者が知ったら怒りを覚えるに違いない。
現在、日本の献血血液は世界でも誇れる検査体制のもとに供給されているが、
その献血が有効に活かされていないことは国民の命を守る責任を放棄してい
る。確かに過去に薬害事件の発生があり、その責任は重く断じられたが、人
の命を救う、救命に必要な製剤の安全性と供給確保については、安全性を
最大限確保すべく対応がなされている国内献血血液の時代にある現在を別
に論じられなければならない。
早急に改善し、入り口から供給先・使用までの流れをさらに献血の意義が反
映できるものに構築していくことが重要だ。