理事長ご挨拶
- 2014.9. 3
ご挨拶
被害者自らが、主体的に積極的に活動し、被害回復と自立を目指す
はばたき福祉事業団は、東京HIV訴訟の被害者が、自らの被害回復と自立を目指して主体的に積極的に活動していくための母体として設立しました。薬害エイズ事件は、1989年に東京及び大阪の両地方裁判所に提訴以来、約7年の厳しい闘いの歳月を経て、1996年3月、社会正義の実現という大きな社会的関心と厚い支援を受ける中、ようやく和解成立するに至りました。
被害者にとりましてまさしく命をかけての裁判でした。
しかし、原状回復のためのHIV医療体制の充実、遺族の心の被害回復、薬害再発防止への取り組みなど、未だに解決のための課題が多く残されています。
東京HIV訴訟原告団は、和解成立前から、想像を絶する過酷な被害に見舞われた感染被害者やその家族が、幾多の困難を乗り越えて社会で自立していくためには、どのような恒久対策が求められるかを真剣に検討して参りました。
HIV医療体制の充実、遺族の心の被害回復、薬害再発防止への取り組みの為に
真の恒久対策の実現には、被害者自らも活動していく必要から、その母体として「救済センター」(後に「はばたき福祉事業団」となる)を設立する構想が生まれました。
そして、勝利的和解解決後の原告団総会において、原告が任意に和解金の一部から拠出して薬害エイズ被害者の救済事業と薬害再発防止を目的として、これらの実現を社会的公益活動と位置付け、法人格を取得して広く社会の理解や支援を求めて活動するための財団形式の団体設立を決議いたしました。
被害者の救済、恒久対策の実現、被害体験を通しての福祉貢献
この決議を受け、1997年4月1日に「はばたき福祉事業団」が正式に発足する運びとなりました。「はばたき福祉事業団」は、東京に本部を置き、全国4ブロック(北海道、東北、東海中部、九州)に各支部を配置して、全国に散在する被害者の救済の実行に務め、永く恒久対策の実現を図り、被害体験を通して公共の福祉に寄与できるよう、すでに活動を開始しています。
現在は、緊急に必要な医療対策や相談事業につき一部拠出金の取り崩しを実施していますが、救済の母体として永続的運営の必要から、今後は広く寄付や賛助金、また国などからの委託事業費によって、健全で安定した運営により、永続的に事業活動ができるよう務めてまいります。
また、広く社会の英知を結集させた恒久対策の実現を目指してまいります。
どうぞ、はばたき福祉事業団の設置趣旨にご理解をいただき、運営につきましても厚いご支援をいただけますようお願い申し上げます。
はばたき福祉事業団 理事長 大平 勝美