血友病情報
「なるほど!血友病ワークショップ」終了後に寄せられた追加質問への回答を公開しました
6月4日(土)に行いました「なるほど!血友病ワークショップ ~関節を動かしてアクティブライフを!~」の終了後にご視聴の方から寄せられた質問に、国立国際医療研究センターリハビリテーション科の藤谷順子先生が回答してくださいました。その質問と回答をご紹介します。
Q1.関節の痛みとはどのように付き合っていけばいいでしょうか。
A1.「付き合っていく」というのは良い言葉を選択されたと思います。まさに「付き合っていく」ということになります。
関節の痛みを減らせるものなら減らす、というのがまず一番です。痛みの要因が出血であったり、過負荷であるのであれば、痛みの発生は予防の試みが可能です。(サポーター・靴・環境・運動・動作の見直しなど、講演でご説明しました)
とはいえ、生活やお仕事で、動かざるを得ないということもありますし、股関節や膝関節や足関節は、どうしても体重を載せざるを得ないので、負荷をなくすことが難しいです。
股関節や膝関節については、人工関節で、疼痛を減らすことが出来ます。足関節はまだ人工関節が普及していませんが、関節固定術で疼痛を減らすことが出来ます(固定したことによる不利益との兼ね合いです)。
痛み止めで対応する、という方法もありますが、鎮痛薬が増えていかないように、上記をいろいろ組み合わせたほうが良いです。
個々の関節の、サポーターとか、靴の調整、運動指導・生活指導などは、リハビリテーション科や、整形外科の装具外来などでご相談いただくと良いでしょう。
Q2.両足足関節固定手術をしたら動きが凄く制限されて動きが凄く硬くなり、靴下もまともに履くことが出来ずストレスです。今後どう向き合って行けばよいですか?人工関節手術が可能か?
A2.両側足関節固定術をなさったのですね。足関節の人工関節は、開発されていて症例も蓄積されています。私どもの方でも情報収集しているので、いずれご案内できると思います。足関節固定術を受けた整形外科でも、足関節の手術の可能性として、人工関節も視野には入っていると思いますので、時々ご相談ください。
当面は、足関節の上下の関節の使い方で、生活面での不便が解消できないか検討したいですね。例えば、靴下もまともに履くことが出来ないのは、足先に手が届かないのでしょうか? 肘とか、膝とか、股関節とか、肩とか、体幹の使い方でカバーできないか、一緒にご検討できればと思います。靴下をはく自助具などもありますが、恐らくは質問者様は、できていたことが出来なくなったのがストレスなので、靴下自助具はあまりうれしくないとお考えでしょうね。
また、両側足関節固定をした方でも、しばらくたつと(固定をしたところが動くようになるのではないのですが)ほかの関節の使い方が柔軟になり、動作のぎこちなさが気にならなくなる方はおられます。そのようなことも期待したいと思います。
ぜひ、手術をされたところのリハビリテーション科、あるいはお近くのリハビリテーション科にご相談ください。
Q3.関節が固まってきている時に負担の少ない、進行を遅らせられる体操を知りたいです。
A3.関節によりますので、個別にご相談いただければと思います。かかりつけの医療機関のリハビリテーション科にご相談ください。当院のホームページにも若干を挙げています。
https://www.hosp.ncgm.go.jp/s027/hiv_index.html
が、やはり関節の評価をしてもらって運動を選択して指導してもらうことをお勧めします。
おまけ1
皆様にご案内です。この夏から秋にかけて、北海道大学、仙台医療センター、NCGM、名古屋医療センター、九州医療センターではリハ検診(検診会又は個別リハ検診)を行います。ご参加になると、関節の評価の上で、体操等のアドバイスをご提供できます。
※この検診は薬害HIV感染被害者限定のものとなります。詳細は「被害者専用ページ」でご覧ください。
おまけ2
ご自分のかかりつけの医療機関にリハビリテーション科がない、別の医療機関のリハビリテーション科に紹介状を書いてもらわないといけないが、その新しいところが、血友病に詳しくないと困るなあ、と不安の方は、下記の資料を、かかりつけ医の方で印刷していただき、診療情報提供書に同封していただくことも交渉してみてください。血友病に慣れていないリハビリテーションスタッフのための冊子です。
●中高年血友病患者の診療にあたってPT・OTのためのハンドブック2022