研究・その他医療情報
慢性疾患の子どもの自立のために
はばたき福祉事業団では、慢性疾患の患児が社会の一員として自立するため、成育期において学校生活と療養を包括的に支援していくプログラムを開発することを目指して、平成21年度から研究を始めました。過去3年間の取り組みをまとめましたので、ご報告します。
疾患は違っても慢性疾患の子どもたちの共通の課題として『自立』があります。そこで、平成21年度成育医療研究のグランドデザインに関する分担研究において『慢性疾患の子どもたちの自立を目指した支援プログラムの開発に向けて』という題でワークショップを行いました。成育医療の理念や支援プログラムに関して、『患者支援』『教育』『福祉』『家庭』の視点から話合いをしました。
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ワークショップのパネリストの一人である、小児がん経験者であり小児がんネットワークMNプロジェクトの代表、社会福祉士でもある小俣智子氏に『小児がん経験者として~小児患者の心理的支援の必要性~』ということについてご講演いただきました。小児がんは7,8割治るようになってきている現在、慢性疾患として長期治療・療養による影響をマイナス面、プラス面による影響をあげながら、自立への課題(本人・支援者・社会全般)をお話しくださいました。
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① 疾病や症状などの自覚
② 家族や周囲との関係構築
③ 疾病経験の整理
④ 仲間との交流
⑤ 必要な情報の収集と理解
これらに対応できるプラグラムはないか、そこでイギリスで開発・実施されている慢性疾患のこどものためのセルフマネジメントプログラム『Staying Positive:Self-Management Workshop』を調査しました。
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【プログラムの方針】
プログラムは病気をもつ子どもへの聞取り調査に基づいています。
慢性の病気を抱えていることと同時に、常に普通の思春期の子どもとして直面する問題も取り上げています。
子どもの発達段階にあったものであることや子どもの関心のあることに重点を置き、医学モデルではなく社会・心理モデルを採用しています。
【ワークショップについて】
・ワークショップは週末や休日の3日間にわけて行われます
・参加者は12歳~18歳で6人以上の参加者で行われます
・ファシリテーターは3人の子ども。大人の世話人はいますが、ワークショップには入りません
・ワークショップで参加者が守る秘密の保持、お互いを尊重するなどいくつかのきまりがあります
・ワークショップはマニュアルにそって、ファシリテーターが分担して行います
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