脳死肝移植をされたBさんの手記
私が肝移植をすると決めたのは、移植をする以外に助かるすべがないことがわかってからでした。
私は40代のころから肝硬変になり、食道静脈瘤があることもわかっていたので、定期的に胃カメラでの検査をして気にはしていましたが、普通に会社に勤めて、ごく普通の生活を送っていました。主治医からは何度か長崎大学病院での肝検診や肝移植を考えてみないかと薦められていましたが、破裂したらそれで仕方がない、まだ大丈夫だと思って真剣に考えることもなく聞き流していました。その後腎臓も悪くなり、2013年には腎不全となり人工透析生活を続けていました。
2019年1月31日夜、突然自宅で吐血し、救急車で地元の大きな病院に運ばれ応急処置をしました。翌日、血友病・HIVの専門である名古屋のかかりつけ病院に転送され、ICUで数日間過ごしました。食道静脈瘤破裂でした。地元の病院に到着するまでは覚えていました。転院したこともICUに入っていたことも、記憶は一切ありません。
一般病棟に移り体調が安定してきた時点で、あらためて肝移植を薦められ、3月12日、病室に主治医、長崎大学病院の医師、ACC関係者の方々と家族で話し合いがあり、体の状態を考えると移植する以外良くなる方法がないことがわかり、そこで初めて真剣に移植することを決心し、移植希望申請をすることにしました。
その後入院生活が長引くため会社は退職することにしました。
入院中、胃からの出血を繰り返し何度も輸血を繰り返して、体力的に心配になることもありました。
9月6日、適合ドナーの方が見つかり、翌7日、名古屋から長崎大学病院に転院し、その日のうちに移植手術をしました。私は肝臓・腎臓の同時移植をすることができました。
19日間ICUで過ごしてから一般病棟に移り、12月2日、名古屋の病院に転院をして、移植から3カ月程経過した12月21日に退院しました。
退院後は、移植したことにより血友病もなくなり、長年苦痛だった週3回の人工透析からも解放され普通の生活に戻ることができました。
私は運良く早期で移植することができましたが、移植を希望してもすぐにできるとは限りません。何年も待ち続けている人の話もよく耳にします。
今移植を考えてる人は早めに決心して移植希望登録申請することをお薦めします。体調が悪い状態では移植することができなくなるかもしれないので、体調が安定しているうちに考えてみてください。移植後は免疫抑制剤等を一生飲み続けなければいけませんが、普通の生活を取り戻すことができます。
私は今では移植後に生まれた孫を保育園に迎えに行き、一緒に過ごす生活をすることができて幸せな日々を送っています。
臓器を提供していただいたドナーの方には感謝の気持ちでいっぱいです。